2ntブログ

#1 神様が見えるヒト

エロアニメの神様
07 /27 2021
古くから八百万の神と申しまして、

この国では神羅万象、全てのモノに

神様が神様が宿っております。 

それは土地や自然、建物だけでなく、

食べモノや音楽、芸術、

ヒトが産みだした創作物まで含みます。

ヒトにはその姿は見えませんが、

私たちは確かにいるのです。


私は、生まれたばかりの新しい神様、

エロアニメの神様です。

私が最初に訪れたのは、

東京都千代田区・秋葉原の街でした。

何と言っても私は新人ですから、

まずは神様の先輩方に

キチンとご挨拶しないといけません。


秋葉原駅の電気街口近くに来て

まず目に入ったのが、

【AKIHABARAゲーマーズ本店】さん

の看板でした。

ビル全面に装飾された

色鮮やかな懸垂幕の数々には

大変興味をそそられたのですが、

現在は一階が改装工事中とのことで、

立ち寄るのはご遠慮しました。


私たち神様はヒトには見えず、

触れても身体をすり抜けてしまいます。

ただ、その感触がゾクゾクっとして

どうにも気持ちが悪いので、

私たちは大抵身体を60cm位に縮めて、

フワフワと宙に浮いています。

人混みは少しだけ苦手なのです。


そこから中央通りに出て

私が目指したのは、

【アニメイト秋葉原本館】さんです。 

こちらは最大手のアニメショップで、

この時はちょうど

【乙女アニメの神様】

が立ち寄っておられました。 


 「……エロアニメの神様?」

 「はい、宜しくお願い致します」

 「弱ったなぁ……

 そういうのはちょっと……

 僕らと違うんだよねぇ……」


あらららら?

何ということでしょう。

【アニメイト秋葉原本館】さんでは

エロアニメを扱っていないそうです。


私がお店の外に出て

七階建てのビルを見上げていると、

背後から女の子の声がしました。


 「……もしかして貴方、

 エロアニメの神様?」

 「はい?」


そこにいたのは、

女子高生風の制服を着た

三つ子の神様でした。


「あの、皆さんは……」 

「私らね、エロマンガの神様よ❤」


彼女たち三人は

私をアニメイトの右隣にある

【とらのあな秋葉原店A】さん

の地下一階に案内してくれました。


そこには、

1フロアほぼ全てを埋め尽くす程の

エロマンガが並んでいて、

なるほどエロマンガの神様が

三人もいるのが頷けます。


 「エロマンガとかエロアニメはね、

 いわゆる一般作とは

 ジャンルが違うの。

 18禁作品のカテゴリーに入るのよ。

 だから大きなお店でも

 扱ってなかったりするわけ」

「そういうものなんですか」


フロアの最奥に

エロアニメを陳列している棚が

三つ並んでいました。

小さなモニターで

サンプル動画も上映されています。


「エロマンガに比べると

 商品数が少ないから

 こじんまりしちゃうけど……

 ちゃんとエロアニメも

 売ってるでしょ?」


私はそこで

エロアニメが販売されている現場を

初めて見ました。

何故でしょうか、

ズラリと並ぶパッケージを見ていると、

何だかとても嬉しい気分になります。


「エロマンガの神様、

 ありがとうございます。

 この街のエロアニメ売場が

 拝見できて良かったです」

「ま、別にこの店だけが

 売ってるわけじゃないけどね」

「本当ですか?

 ……ではもしかして、

 エロアニメの専門店とか?」 

「いやごめん、

 流石にそれは無いけど、

 この街なら他にも

 エロアニメを扱ってる店はあるよ」


私は彼女達に案内していただいて、

ご近所の店舗を回りました。 


アニメイトさんの左隣にある

【ラムタラエピカリアキバ】さん。 

こちらの二階奥にも

とらのあなさんと同じくらいの

エロアニメが並んでいました。 


同じ中央通りにある

【トレーダー秋葉原3号店】さん

の四階では新品だけでなく

中古品のエロアニメも扱っていました。


さらにそこから

駅へ戻るように進んで

【ラムタラ秋葉原店】さん

にも立ち寄りました。

店内の案内表示を見ると、

エロアニメは扱っていないようにも

見えるのですが、

五階でちゃんと販売していました。


最後に訪れたのは万世橋近くにある

ラムタラメディアワールドアキバさん。

地下一階の売り場には、

この日見た中で一番大量の

エロアニメが並んでいました。 

サンプル映像が流れるモニターも

大きなものが一つに小さなものが二つ

ソフトの売上ランキングも

店内に表示してありました。


そこで私たちは

商品を手に取って眺めている

一人のお客様に出会いました。 


私は思わず熱を込めて語りかけます。

 「ああぁっ、

 お客様いかがでしょうか?

 どれも凄くいやらしいと思います!

 ……よろしかったら是非どうぞ!」 

「……あのさ、分かってると思うけど、

 人間には私らの声、

 聞こえないからね?」


ちなみにその方が手に取っていたのは

こちらの作品でした。 


   


お客様は

パッケージの表と裏を何度も眺めて、

じっと考えておられます。


私はまだ新人で、

作品の中身は詳しく知りません。

なので今はただ必死で祈るだけです。


するとお客様は、

とうとうDVDを持って

レジに向かったのでした。


 「あぁああっ、

 お買い上げありがとうございますっ

 どうかまたご贔屓にっ……」


私が喜んで大声を上げると、

背後から声を掛けられました。


 「……お姉ちゃん

 こんなとこで何やってるの?」

 「!?」


振り返った私とエロマンガの神様が

思わず息を飲んだのは、

そこに居たのが他の神様ではなく、

男性のヒトだったからです。 


「えっ!? あ、あのっ……私ですか?」 

「……いや一人しかいないじゃない

 お姉ちゃん、一体何者なのよ?」


これが私と【神様が見えるヒト】

賀島晴史郎さんとの出会いでした。

ここから私たちの

長い長い物語が始まったのです。


佐和山進一郎

エロアニメ・エロゲームのシナリオ
エロ小説のお仕事、随時募集中!
メールフォームまたはツイッターの
DMにてお問合せ下さい