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#48 弱点

エロアニメの神様
06 /30 2023
賀島さんはこれまで
300本以上のエロアニメシナリオを
執筆されてきたわけですが、
エロシーンの中で幾つか
不得意なモチーフがあるそうです。

「これは昔っからなんだけど
 食べ物を絡めたプレイって
 あんまりエロく感じないんだよね
「食べ物?」
「食べ物に精液を掛けて食べさせる
 【食ザー】とか
 女性の裸にお刺身とか盛り付ける
 【女体盛り】みたいなヤツ」
「私の家族は
 曾祖母と祖母が食堂で働いてて
 母親はお惣菜の店をやっててさ、
 食事を残したり、食べ物を粗末に
 すると結構怒られたんだよね。
 そのせいなのかもしんない」
 「ははぁ……なるほど」

「あとはね、食べ物絡みのプレイって
 意外と膨らませづらいのよ。
 食ザーは女性に気持ち悪いモノを
 食べさせるってのが肝なんだけど
 だったらオジサンの指とか足とか
 舐めさせた方がその後のプレイに
 繋げやすいし、作画のコストも
 掛からないかなって考えちゃう」
「ふむふむ」
女体盛りは絵面のインパクトが
 すごく強くていいんだけど、
 出オチになっちゃうのよね。
 女性が身体を動かせないから
 やれることが少ないのよ。
 乳首やクリを箸で摘まんだりとか
 刺身を股間で擦って愛液を付けて
 食べるとか……それぐらいかな」
「私が不得意とかいうより
 そもそもエロアニメにはあんまり
 向いてないのかもね。
 エロゲーとかエロマンガの方が
 生きるプレイじゃないかな。
 絵が動いてなくても
 エッチシーンが様になるからね」

「プレイの種類でもエロアニメへの
 向き不向きがあるんですね?」
「うん、やっぱりあると思うよ。
 絵が動くっていうのは
 アニメの大きな長所なんだけど
 逆に動きが見えちゃうからこそ
 違和感が出てきちゃうような
 エッチシーンもあるしね
「どういうことでしょう?」

「例えばエロゲーなんかでさ
 女の子がドアの隙間から
 部屋の外に上半身だけを出して
 実は立ちバックで突かれてたり
 下半身はエッチな事をされてる
 っていうシーンがあるじゃない?
「はいはい」
「あれをアニメにしちゃうと
 女の子の上半身は不自然に動くし
 室内からエッチな音は聞こえるし
 どう考えてもエッチな事してるのが
 バレバレになっちゃって、
 部屋の外から気づかないのが
 不自然に見えちゃうのよ」
「なるほど」

「あとは、エロゲーのイベント絵だと
 一枚のCGに複数の女の子が
 エッチしてる様子が描かれてたり
 女の子がベッドに並んで寝転んで、
 同時にエッチされてるシーンが
 あったりするじゃない?
 これもそのままアニメにすると、
 一つの画面の中で複数のエッチが
 動いてるもんだから、
 お客さんが目移りして
 集中できなくなっちゃうのよ。
 女の子の喘ぎ声も複数同時だと
 うるさくなっちゃうしね」
「ではでは
 そういうシーンをアニメ化するには
 どうやって描写するんですか?」
「同じ場所でエッチをしてるんだけど
 女の子を一人ずつ描写して
 カットバックするのが基本だね。
 最後の絶頂とかは同時に叫んでも
 面白いかなと思うけどさ」
「そういうものなんですね」

「前から言ってる話だけど、
 エロアニメ、AV、エロマンガ、
 エロゲー、官能小説と色々あるけど
 エロメディアはみんなそれぞれ
 他にはない特性があってさ。
 だからこそ共存共栄ができると
 思うんだよね

「例えばスカトロみたいな
 排泄行為を絡めたプレイは
 AVよりもエロアニメの方が
 エロくなると思うんだよ
「ほうほう」
「排泄を見られるのが恥ずかしいから
 女の子は必死にガマンする。
 でもガマンしきれずにカメラの前で
 排泄しちゃう。
 このプロセスがスカトロプレイの
 エロさの肝だと思うんだよ」
「ただ、最終的にはどうしても
 排泄物が映っちゃうわけでさ。
 AVではそこでやっぱり
 大半のお客さんが【汚い】って
 思ってちょっと萎えちゃうのよ。
 だからエロアニメとか
 二次元系のエロメディアでは
 あえて排泄物をリアルに見えない
 ようにしてるのよ。
 ウンチを大量の液体みたいに
 わざと嘘っぽく描いたりとかさ」

「ちょっと尾籠な話になりましたが、
 ではでは最後にまたリクエストを
 お願いします」
「今回の話とは関係無いんだけど
 最近観た映画で
 『リバー、流れないでよ』
 を紹介したいな」

『リバー、流れないでよ』
劇団・ヨーロッパ企画さんの制作で
原案・脚本が上田誠さん
監督が山口淳太さんで
2023年6月23日より公開されている
オリジナル長編映画です。


京都の老舗旅館が舞台で
 2分間のタイムループから
 抜け出せなくなった
 従業員や宿泊客の混乱を描く
 スラップスティックの
 群像劇なんだよね
「この2分間のタイムループは
 カメラを長回ししてるから
 きっちりリアルに2分間でさ、
 たった2分で何ができるんだろ?
 って最初は思ってたんだけど
 この2分間がコントみたいに
 テンポが良くてすごく面白いの」
「さらに
 この2分間が積み重なることで
 人物のドラマが組みあがっていく
 構成が見事でビックリしたよ」

「予告を観た時から気になってて
 都内の劇場まで行ったんだけど
 客席がほぼ満席でね。
 すごく斬新な設定の映画だし
 何となく『カメラを止めるな!』
 観た時の衝撃を思い出したよ」
「来月からの拡大公開も
 決定したみたいだけど
 ぜひもう一回観に行きたいし
 もっともっと公開延長してほしい
 オススメ映画だね」

長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

#47 漸近線

エロアニメの神様
06 /20 2023
以前伺ったことがありましたが
賀島さんはエロアニメに関わる以前、
とある脚本家事務所に所属して
TVアニメやドラマCD、
ゲームシナリオを手掛けていた
時期があったそうです。

「私は映像系の専門学校の
 出身なんだけどさ。
 ちょうどバブル崩壊の時期でね、
 就職が中々決まらなかったから
 二年間、学校で教員補助の
 契約社員をやらせてもらったの
「ほうほう」
「で、その当時『月刊ドラマ』
 師匠が講師を務めてらっしゃる
 シナリオ教室の告知があってね。
 その教室を受講したのが
 ご縁の始まりだったの
「なるほど、そのシナリオ教室から
 お師匠の脚本家事務所に
 入られたんですね?」
「いやいや、とんでもない。
 当時はシナリオなんてほとんど
 書いたことが無い下手っぴでね。
 師匠のマネージャーって扱いで
 事務所の経理や雑用をしたり
 師匠のお仕事を手伝ったりしつつ
 仲間と勉強会を続けてさ、
 シナリオライターとして事務所に
 所属できたのは3年くらい経って
 からだったなー

言い方を変えると
お師匠さんはそれだけの長い期間
賀島さんをずっと近くに置いて
ご指導されていたわけで
師弟の強い絆を感じさせます。
宛ら親子のようではありませんか。

「まあ確かに
 先輩後輩とか上司と部下みたいな
 関係に比べると絆は強いけどさ。
 親子ってのはちょっと違うかな」
「関数のグラフで
 【漸近線】ってのがあるんだけど
 あれに近いのかもしんない」
「どういうことでしょう?」
「例えば、y=1/xのグラフって
 こんな感じになるんだけどさ」

asymptote1.png

「このグラフの曲線は
 先に行けば行くほどy軸とx軸に
 どんどん近づいていく、
 漸近して行くんだけどさ。
 限りなくy軸とx軸に近づいても
 絶対に交わらないんだよね
 そこには決して超えない一線がある。
 師弟ってそんな関係だと思うんだよ
「ふむふむ」
「単なる仕事上の関係じゃなくて
 限りなく漸近していくんだけどさ、
 決して交わることがない。
 そこには一線の節度があるのよ」
「親子になっちゃうと、
 親はどうしても甘やかすし、子供は
 どうしても甘えちゃうでしょ?
 でも師弟には必ず一線があって
 関係にある種の緊張感があるのよ。
 そこがすごく気に入ってるんだ
「なるほど……面白い観点ですね」

『Gガンダム』の12話は
 そういう師弟の関係を
 すごく上手く描いてると思うんだ」

『機動武闘伝Gガンダム』
サンライズさんの制作で
1994年に放映されたTVアニメです。
第12話のサブタイトルは
『その名は東方不敗!
       マスターアジア見参』
脚本は山口亮太さん
演出は佐藤育郎さんです。

「主人公、ドモン・カッシュ
 師匠のマスター・アジアと再会する
 エピソードなんだけどさ。
 無愛想でぶっきらぼうなドモンが
 師匠と再会した途端、手を取って
 涙をポロポロ流すんだよ。
 幼馴染のヒロインにも見せなかった
 【自分の弱い部分】を
 師匠にだけは見せちゃうんだよね。
 師弟の関係として
 そこがすっごく感情移入できてさ」
「ほうほう」

「この時点でドモンは
 父親が永久凍結刑、母親が死亡、
 兄貴が逃亡犯っていう状況なのよ。
 追い詰められてガンダムで無理やり
 戦わされている環境なのに
 それでも自分から師匠を探したり
 頼ったりはしてなかったんだわ。
 で、師匠に偶然再会すると
 堪えていた思いが溢れ出す……
 っていうのがグッと来たね」
「ではでは、そのシーンを
 動画でご紹介しましょう」

「Gガンダムの12話は
 ドモンとマスター・アジアの
 演舞を思わせる【挨拶】とか
 二人の合体技である
 【超級覇王電影弾】とか
 マスター・アジアの強烈なキャラが
 印象に残るんだけどさ。
 ドラマとしてもすごく秀逸だった
 と思うんだよね」

私は賀島さんのお師匠に
お目にかかったことはありませんが
こうして懐かしそうに愛おしそうに
お師匠との思い出や師弟への想いを
語る賀島さんを見ていると
お師匠が長生きして下さることを
願わずにはいられませんでした。

長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

#46 エロスの舞台

エロアニメの神様
06 /10 2023
【エロスの舞台】と仰いますと
 今回は演劇のお話ですか?」
「いやいや、そうじゃなくてさ。
 女の子の身体やSEXを描く前に
 設定やシチュエーションで
 エロを盛り上げていくってことよ
「設定やシチュエーション?」

「例えば学園マンガなんかでさ
 主人公が意識している異性と
 委員会の作業とかで一緒になって
 放課後の教室で二人きりになる。
 なんてシチュエーションだと
 お客さんはドキドキするじゃない?
 この【ドキドキ】ってのは
 エロメディアの性的昂ぶりに
 繋がっていくと思うんだよ
「ほほぉ……なるほど」

「エロスの舞台っていうのは
 【エロスを予感させる状況】
 なんだよね」
「さっきの教室の話を
 もう一歩進めて考えるなら、
 場所の設定を
 【簡単に出られない】
 ものにしてみればいい」
「例えば、
 大雪で外に出られない山小屋とか
 台風で帰宅困難になった会社とか
 故障したエレベーターの中とか」

「改めてお伺いするのですが
 何故ヒトは、
 男女で密閉された状況になると
 エロスを予感するのでしょうか?」
「身も蓋もない話になるけど
 【ヤレるかもしれない】
 シチュエーションってことだよね。
 二人っきりだったら
 例え相手に好意が無くても
 その気になれば半ば強引にでも
 Hができるかもしれない……
 と男は感じちゃうんだよ」
「何とまあ浅ましい」
「これはまぁ、理屈じゃなくて
 本能的な感覚かもしんないね。
 もちろん現実で
 【半ば強引にH】なんてしたら
 犯罪になっちゃうわけで
 その辺の妄想を補完していくのが
 エロメディアじゃないかな?
「なるほど」

「ここまでは
 場所に関する話だったけど
 【エロスを予感させる状況】は
 キャラの状況でも考えられるね
「例えば?」
「女の子やその身内が
 男の側に借金があるとか
 事故でケガさせちゃったとか
 万引きを目撃されちゃったとか
 不倫や不正がバレちゃったとか
 ……要するに
 女の子側に何らかの負い目がある
 ようなシチュエーションだね。
 女の子の弱みに付け込んで
 エッチなことをしたりさせたり
 ……って感じかな」
「これもまた下衆な話ですねぇ」
「やっぱりこれも現実にやると
 脅迫行為になっちゃうからさ
 ムラムラした時でも
 ヘンな気を起こさずに
 家に帰ってエロメディアで
 スッキリしてほしいね」

「こういう
 【エロスを予感させる状況】も
 時代や文化・世俗によって
 新しいモノが出てくるんだよね
「ほほう」
『俺の指で乱れろ』
 参加した時の話なんだけどさ」

『俺の指で乱れろ』
necoさん原作のコミック作品です。
2018年から現在までComicFestaほか
にて連載されております。
2020年にはComicFestaアニメ
いわゆる【僧侶枠】として
5分間のショートアニメが
制作・放映されました。

「原作の第5話で
 ヒロインが仕事関係の男の子と
 漫画喫茶の個室で食事するシーン
 があったんだけどさ、
 恥ずかしながらその時、
 漫画喫茶に複数で入れる個室が
 あるって知らなかったんだよね
「で、調べてみたら、
 幾つかの漫画喫茶・ネットカフェ
 にはそういう部屋があったのよ、
 2~4人で利用できる部屋。
 ペアルームとかファミリールーム
 とか、VIPルーム、シアタールーム
 なんて呼ばれてるんだけどね」
「ほうほう」

「最初はカラオケルームみたいな部屋
 をイメージしてたんだけど、
 実際に行ってみると、
 【簡易版のラブホテル】として
 十分使える感じなんだよね」
「実際に行ってみたんですか?」
「すごく面白そうだったからね」

「カラオケルームと大きく違うのは
 ドアに鍵が付けられていて、
 完全個室になってること。
 それと店内にシャワールームや
 コインランドリーが付いてたりする
 ことだね。
 当然、飲食のサービスもトイレも
 あるわけだから、これだけで一応、
 簡易宿泊ができるわけよ」

「そこまで考えるなら
 もういっそラブホテルを使った方が
 良いのではないでしょうか?」
ラブホテルに行くとなると、
 お互いHに同意してるってことに
 なっちゃうでしょ?
 でも漫画喫茶の個室なら、
 そういうつもりじゃない女の子でも
 連れ込めたりしちゃうのよ
 『俺の指で乱れろ』の5話でも
 ヒロインも相手の男の子も
 全然そんなつもりじゃなかったし
 Hな展開にはならなかったしね」
「ただ、エロメディアのストーリーを
 考えるシナリオライターとしては、
 Hをする気がなくて入った場所で
 Hな展開ができちゃうってのは
 意外性があるシチュエーションで
 実に面白いと思ったんだよね。
 新しい時代の
 【エロスを予感させる状況】
 になるんじゃないかな?」

漫画喫茶さんやネットカフェさんは
 そうしたお部屋の使われ方を
 ご承知なんでしょうか?
「ん~~……公には認めてないけど
 承知してるんじゃないかな?
 そもそも、漫画喫茶やネットカフェ
 のPCでアダルト配信サイトを観て
 ついついオナニーしちゃう人は
 以前から結構居たからねぇ……
 鍵付きの完全個室になれば
 その傾向が加速することは
 分かってたと思うんだ」
「なるほど」

「私が利用したそのネットカフェは
 鍵付きの完全個室なんだけど、
 ドアの一部はガラスになっていて
 廊下を通る人や店員さんにも
 室内が見えるようになってたんだ」
「ほうほう、
 エッチなことをさせないための
 予防策なんでしょうかね?」
「ところが、ドアの内側にはフックが
 取り付けてあるんだよ
「フック?」
「部屋のハンガーに上着を掛けて
 そのフックに吊り下げてしまえば
 外から部屋の様子を見ることは
 出来なくなるってわけ」
「ははぁ……なるほど」

お店側も商売だからね。
 オナニーやエッチ目的での利用を
 推奨はしないだろうけど
 厳しく禁止もしないと思うんだ
「漫画喫茶やネットカフェでは
 初回入店時に身分証を提示して
 会員になる必要があるんだよ。
 だからまぁ、利用するお客さんも
 部屋を無茶苦茶汚したりとか
 備品を壊しちゃったりとか、
 お店に迷惑を掛ける極端な行為は
 慎むんじゃないかな?」
「ラブホテルでは利用時に身分証を
 提示したりしないから、
 そういう意味では、漫画喫茶や
 ネットカフェの方がお店側の
 リスクは少ないのかもしれないね」
「いずれにしても
 【エロスを予感させる状況】
 として面白いネタだと思うから
 機会があれば作品で使ってみたい
 なと思ってるよ

「さてさて、
 では本日のリクエストですが
 何かありますか?」
「それじゃ、『俺の指で乱れろ』
 エンディング『指先の魔法』
 プレミアム版で頼むわ」
「プレミアム版?」
ComicFestaアニメ
 Hシーンが無いバージョンを
 オンエア版(通常版)として
 Hシーンが有るバージョンを
 プレミアム版(完全版)として
 自社サイトのアニメZONE
 有料配信してるんだよ
「オンエア版とプレミアム版では
 キャストも入れ替わってるの。
 エンディングを歌ってるのは
 ヒロインの相手・七瀬蒼甫役の
 男性キャストさんだから
 オンエア版とプレミアム版で
 エンディングも二種類あるのよ
「ほほう」


でも何が一番嬉しいって
 Hシーンがあるバージョンを
 アダルト版とか呼ばないで
 プレミアム版とか完全版って
 呼んでくれることだね。
 原作にもHシーンがあって
 それを生かすためにアニメを
 制作してるんだからさ。
 やっぱHシーンがあるバージョンが
 【完全】なんだと思うんだよね。
 それを製作スタッフが
 キチンと理解してくれてるのが
 何より嬉しいよ」

長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

佐和山進一郎

エロアニメ・エロゲームのシナリオ
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