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#9 4月26日の十作

エロアニメの神様
04 /26 2022
今週は連休前ということで、
賀島さんも多忙のようです。
そんなわけで、ちょっとした
雑談をしてみたいと思います。

実は賀島さんは毎クールの始め、
1月・4月・7月・10月の始めは
地上波で放送されるアニメ新番組
のほぼ全てを視聴されます。
今期4月では何と49本の作品を
ご覧になりました。
これも偏にアニメーションに対する
愛情の賜物なのでしょうか?

「……いや、あの、
 勿論アニメは大好きだけどさ。
 仕事でお付き合いがある
 制作会社さんもメーカーさんも
 エロアニメだけしか
 作ってなかったりするんだよね?
 だから一般作アニメも観て、
 世間やアニメ業界の流行りに
 疎くならないようにと」
「なるほど」
「だから49本って言っても
 最後まで全部観る訳じゃなくて
 とりあえず第一話を観て、
 面白ければ引き続きまた……
 っていう感じかな」

賀島さんはそのようなスタイルで
本日現在、10本の作品を視聴継続
されております。
本日はそのお勧め10作を皆さんにも
ご紹介したいと思うのです。

「……あー、あくまで
 個人的な趣味だからね?
 そんなに観る目があるのか
 どうか自信ないよ?」
「そうなんですか?」
「俺ねー、話題になった
 『鬼滅の刃』も本放映当時、
 途中で止めちゃってるのよ。
 劇場版の『無限列車編』
 観に行ってないんだ」
「あらららら」
「最近になって、再放送と
 TVの『無限列車編』を観て
 『遊郭編』でやっと追いついた
 ところなんだよ」
「だからまあ、お勧めというか、
 あくまで個人的に好きな作品
 ということで聞いてもらえると
 ありがたいかなと」
「はい、畏まりました」

ではでは、前置きが長くなりましたが
作品をご紹介したいと思います。


『機動戦士ガンダム
 鉄血のオルフェンズ 特別編』

こちらは2015年~2017年にかけて
放送されたTVシリーズ全50話を
再構成した作品です。
制作はサンライズさん
監督は長井龍雪さん
シリーズ構成は岡田麿里さんです。

「いわゆる総集編なんだけど
 編集の仕方が上手で
 すごく観やすいんだよね
 当時のシリーズを観てなくても
 楽しめるんじゃないかなー」


『パリピ孔明』

こちらは『週刊ヤングマガジン』で
連載中のコミックのアニメ化です。
原作は四葉タトさんと小川亮さん
制作はピーエーワークスさんで、
監督は本間修さん
シリーズ構成は米内山陽子さんです。

「タイトルのインパクトが凄いよね。
 諸葛亮孔明が現代に転生して、
 クラブのシンガーの女の子の軍師に
 なるって設定だけでもう面白い。
 孔明が仕える英子ちゃんがすごく
 良いコだから感情移入しやすくて
 ポイントが高いと思う。
 あと、OPの中毒性がヤバいね」


『BIRDIE WING』

バンダイナムコピクチャーズ制作の
オリジナルTVアニメーションです。
監督は稲垣隆行さん
シリーズ構成は黒田洋介さんです。

「話の軸になる二人の天才の対決を
 序盤からジャンジャン描くのよ。
 すごく力強くてテンポがよくて、
 グイグイ引き込まれる感じがする。
 広瀬香美さんが歌うOPも
 元気がよくて作品にマッチしてる」


『古見さんは、コミュ症です。』

『週刊少年サンデー』にて連載中
オダトモヒトさんの漫画が原作です。
監督は川越一生さん
シリーズ構成は赤尾でこさんで
OLM TEAM KOJIMAさんの制作です。
昨年10月からの第一期に続き、
今クールが第二期となります。

「同級生を個性の強い面々にして
 彼ら彼女らの視点から古見さんの
 話を描くというスタイルが面白い。
 只野君の【普通の良さ】も際立って
 見えるんだよね。
 あと、ショートコントのように
 細かいエピソードを積み重ねていく
 構成がテンポが良くて見やすい。
 デフォルメされた古見さんの表情や
 仕草も可愛くていいね」


『サマータイムレンダ』

2017年から2021年まで
『少年ジャンプ+』で連載されていた
田中靖規さんの漫画が原作。
こちらも制作は
OLM TEAM KOJIMAさんで、
監督は渡辺歩さん
シリーズ構成は瀬古浩司さんです。

「和歌山県の離島を舞台にした
 タイムループサスペンスなんだけど
 SFの要素が入っているのが
 面白くて、先の展開が読めない。
 続きが気になって視聴を継続して
 いる作品かなー」


『まちカドまぞく2丁目』

原作は伊藤いづもさんの漫画です。
『まんがタイムきららキャラット』で
2014年から連載されております。
2019年7月からの第一期に続き、
第二期目のアニメ化になります。
制作はJ.C,STAFFさん
監督は桜井弘明さん
シリーズ構成は大知慶一郎さんです。

「セリフ回しがとにかく面白い。
 会話のテンポもすごく良くて、
 観ていて飽きないし楽しいよ。
 シャミ子の【ポンコツ可愛い】
 部分が際立っていて、
 小原好美さんの好演が光るね」


『アオアシ』

『ビッグコミックスピリッツ』で
2015年から連載中の作品で、
小林有悟さんが原作です。
2019年7月からの第一期に続き、
第二期目のアニメ化になります。
制作はProduction I.Gさん
監督はさとう陽さん
シリーズ構成は横谷昌宏さんです。

「原作が青年誌連載のせいかな
 すごく丁寧にユースサッカーを
 取材してるのが分かる。
 単純な根性論じゃなくて
 技術的裏付けがキチンとあって
 それが物語に上手く練り込まれて
 いるから観ていて飽きないなー
 主人公が常に逆境にあって、
 それを乗り越えていく姿が
 すごく魅力的に感じるんだよね」


『SRY×FAMILY』

『少年ジャンプ+』で連載中の
遠藤達哉さんの漫画が原作です。
監督とシリーズ構成は
古橋一浩さん
制作はWIT STUDIOさんと
CloverWorksさんです。

「スパイの父と殺し屋の母、
 超能力者の娘という設定が
 まず面白くて目を引く。
 その上で各キャラクターの
 性格付けがとても魅力的。
 特にアーニャが素晴らしい」


『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』

……えーと、
こちらはアニメではなく、
東映さん制作の特撮TVドラマです。
監督は田﨑竜太さん
シリーズ構成は井上敏樹さんです。

「既存のスーパー戦隊シリーズの
 概念に当てはまらない作品だよね
 何が起きるのか予想できないから
 目が離せない。
 戦隊ものなのに戦闘以外は
 まとまって行動しないで
 各々の理屈でバラバラに行動する
 から話が膨らんで面白い。
 4~6話が特に良かったねー」

ちなみに賀島さんは
主題歌とエンディングのCDを
既に購入されているそうです。


『鎌倉殿の13人』

……これもアニメではなく、
1月9日から放送されている
NHK制作の大河ドラマです。
その脚本は三谷幸喜さんが
手がけておられます。

「大河ドラマは毎年観てるけど
 やっぱりこれは特に面白いね。
 人物のキャラクターがすごく
 生き生きと描かれているから
 単純な歴史物語だけじゃなくて
 コミカルな魅力もあって、
 ドラマに厚みがあるよ
 戦国時代より世の中がまだ混沌
 としている雰囲気があって、
 その緊張感がまた魅力的だね」

……さてさて、そんなわけで今回は
賀島さんが現在視聴されている
アニメや特撮やドラマを
つらつらとご紹介しました。
動画を沢山張り付けたせいか、
思ったより長くなってしまって
ごめんなさい。

次回はもう少しエロアニメに
関するお話ができればと思います。

#8 遠く色褪せたララバイ

エロアニメの神様
04 /19 2022
その日、
賀島さんがアフレコ見学に
行かれると言うので、
私もこっそり同行させて頂きました。

こうした体験は実は初めてではなく
折に触れエロアニメの制作現場を
勉強させてもらっております。

コロナ禍の昨今、
スタジオブースには人数制限があり
以前より収録に時間が掛かるように
なったとか。

収録を終えた帰り道。
都内から1時間半ほどの電車内。
こんな時いつもの賀島さんなら、
私とお話をして下さるのですが、
今日は何だか元気がありません。
ぼんやりしているように見えます。

「……何か気になることでも
 ありましたか?」
私は彼にだけ聞こえるように、
その頭の中に語りかけます。

「……いや、
 大したことじゃないんだけど、
 今日会った演出さんが
 言ってたじゃない
 『エロでも何でもいいですから
  何かお仕事あればぜひ』って」

確かに仰っていました。
その演出さんはエロアニメに関わる
のが初めてで、
賀島さん始め、スタッフ諸氏とも
大半が初対面のようでした。

「『エロでもいいですから』
 ってことは、
 本当ならエロはやりたくないけど
 生活の為に仕方なく……
 ってことじゃない?
 自分のシナリオがそういう人に
 演出されちゃったんだなー
 って思うと……」
「腹が立ちましたか?」
「いや、そうじゃないけどさ、
 ガッカリしたというか、
 ちょっと寂しくなったかな」

「エロアニメの仕事だってさ、
 『どうやったらエロくなるかな?』
 って一生懸命考えてやれば、
 必ず成果は形になって出てくるし
 それで褒められたり
 仕事が認められたりすれば、
 どんどん面白くなるんだよね。
 仕方なく、嫌々仕事をしてると、
 その境地には辿り着けないし、
 そういう意識のスタッフが
 制作に関わるのは、
 作品にとっても本人にとっても
 良くないことだと思うんだ」
「なるほど」

「お金に困った女の子が
 『仕方ないからAVに出ます!』
 って言ったってさ、
 トップクラスのAV女優さんは
 どうやったらエロく見えるのか
 ちゃんと考えてSEXしてるし、
 身体のケアにも余念がないし、
 SNSやイベントでファンサービス
 もちゃんとしてるんだよね。
 『お金が無いから仕方なく』
 っていう意識の女の子は、
 そもそもAV女優さんの事務所
 面接に通らないし、デビューすら
 出来ないんじゃないかな?」

「精神論になっちゃうけどさ、
 エロアニメに向いてる人ってのは
 エロに対して前向きな人なんだよ
 ……ま、これは受け売りだけど」

「どなたの言葉なんですか?」
「今日の収録でも一緒だった
 製作の織賀進さん。
 俺がエロアニメ業界に入った頃、
 イロハから色々教わったのよ」

プロデューサーの織賀進さん。
『臭作』『鬼作』シリーズや
『新体操(仮)』『顔のない月』
『ストリンジェンド』シリーズに
『水着彼女』などなど、
数々のヒット作を手掛けた
ピンクパイナップルの名伯楽です。

また、むらかみてるあき監督、
荒木英樹監督、辰美監督を起用して
監督が絵コンテ・キャラデザイン・
原画・演出・作画監督を兼ねる
スタイルを確立した方でもあります。

『エロアニメに向いてる人は、
 エロに対して前向きな人』
なるほど、
確かに含蓄のある言葉です。

ちなみに、
賀島さんとはかれこれ二十年近くの
お付き合いになるそうで、
賀島さんの結婚披露宴で
乾杯のご発声をされたのも
織賀さんだったとか。

「……ま、でも、
 俺は演出の専門じゃないし、
 こんなこと思っても、なかなか
 他のスタッフには言えないのよ。
 だからこうして、
 神様に愚痴ってるわけ」

賀島さんが何だか元気が無かったのは
そういった事情でした。

「……では、歌でも歌いますか?」
「歌?」
「賀島さんのご自宅にあるレコード
 CD、ビデオ、LDやDVDに
 収録されている曲でしたら、
 私、コピーして歌えますよ」
「へー、神様はそんなことも
 出来るのかー、知らんかったわ」
「はい、どんな曲でもどうぞ」
「じゃあね……
 『ガルビオン』のエンディングで
 『メモリー・ララバイ』
 ああいう抒情的なエンディング
 って好きなんだよねー」
「はいはい、かしこまりました」

『超攻速ガルビオン』は、
1984年放送のTVアニメで
国際映画社さんが制作した
最後のロボットアニメです。

エンディングテーマの
『メモリー・ララバイ』は、
亜蘭知子さんの作詞、
山本正之さんの作曲で、
田中利由子さんが歌われています。


私達が乗っている電車の窓から、
エンディングアニメのような
夕暮れの街が見えていました。

「……上手いね、神様。
 完コピじゃない、すごいよ」
「ありがとうございます」

原曲をアレンジするような感性が
神である私にはありません。
ですので、原曲を忠実になぞること
しかできないのですが、
少しでも喜んで頂けたようで、
何よりでした。

#7 酔っぱらいブギ

エロアニメの神様
04 /12 2022
その日、私が賀島さんを訪ねると、

小学生の娘さんの付き添いで

歯医者さんに居られました。


娘さんの治療が終わるまでの

時間潰しだったのでしょうか。

賀島さんはまたエロアニメのお話を

して下さいました。


私の姿は他のヒトには

見えておりませんし、

私達の会話はお互いの頭の中だけに

聞こえていますので、

こんな時には都合が良いのです。


「……『うる星やつら』

『酔っぱらいブギ』って

エピソードがあるじゃない?」


以前にもご紹介したことがありますが、

『うる星やつら』は

1978年から『週刊少年サンデー』に

連載されていた高橋留美子さんの

コミック作品です。


『酔っ払いブギ』というエピソードは、

連載当時の単行本11巻に

収録されているお話です。

1982年にTVアニメの第42回として

映像化もされております。


舞台はお昼時の友引高校。

宇宙人のラムちゃんとテンちゃんが

お弁当に入っていた梅干しを食べると、

何故か【酔っぱらって】しまいます。

酒乱状態になった二人を巡って

ドタバタコメディが展開されます。


「……ラムちゃんって言うと

 虎柄ビキニがトレードマーク

 だって思われがちだけど、

 ラムちゃんの【お色気】を

 強調したエピソードって

 実はあんまりないんだよね。

 初登場の時、

 諸星あたると鬼ごっこをして、

 ビキニのトップを取られちゃう件

 があるけれど、

 それ以降はあんまりエッチに

 描かれた印象はないかなー」

「そうなんですか」

「あたるを追いかけて

 友引高校に入学してからは、

 登校時は制服を着てるし、

 休日に外出するエピソードでも、

 普通の女の子みたいな

 私服を着てたりするからね」

「なるほどなるほど」


「要するにね、

 作中の登場人物もユーザーさんも、

 ラムちゃんのビキニ姿っていう

 【刺激】

 【慣れちゃって】いたわけよ」


エロアニメやアダルトメディアの

【刺激】【慣れ】については、

こちらのお話で賀島さんが

詳しく解説されております。


「で、『酔っぱらいブギ』

 の話になるんだけど、

 酔っぱらったラムちゃんが

 『熱いっちゃ……』とか言いだして

 教室で制服を脱ぎだすんだよね。

 あたる以外の男子は生唾ゴックン

 で色めき立つんだけど、

 制服の下は例の虎柄ビキニでさ。

 しのぶたち女子生徒から、

 『ばかみたい!

  なに興奮してんのよ!!』

 『ラムのいつもの

  スタイルじゃないの!』

 なーんて言われちゃうんだよね」

「ほうほう」


「いつものスタイルなのに

 いやらしく感じてしまうのは

 どうしてなんでしょう?」

「それはね、

 酔っぱらってる女の子が、

 目の前で制服を脱ぐという行為で

 【昂ぶり】が表現されてるから

 なんだよね。

 前も言った通り、

 メディアによる性的な【刺激】

 【右肩上がりに段々強くしていく】

 のが大事だからね」


「彼女が酔っぱらっているという

 要素も意味がありますか?」

「大いにあると思うよ。

 酔っぱらって気だるげな雰囲気に

 なると、女の子は色っぽくなるし

 隙だらけに見えちゃうからね。

 そこに付け込んで

 やらしいことをしちゃおうって

 下衆な男はいっぱいいるよ」


現実にそうした行動をしてしまうと、

うっかりしたら犯罪になりますので

欲望が昂ぶってしまった時は、

是非是非エロアニメを観てスッキリ

してほしいと私は思います。


「もう一つ、細かい話なんだけど

 実はこの回のラムちゃんのビキニは

 いつものスタイルじゃないのよ」

「と言いますと?」

「いつものスタイルなら、

 ビキニに合わせて

 虎柄のブーツを履いてるんだけど

 この回は登校中のお話だから

 足元がソックスと室内履きなのよ。

 そのせいでいつもの虎柄ビキニが

 ちょっとだけ普通じゃない状態に

 見えちゃってるわけ」

「なるほど」


「もちろん、『うる星やつら』は

 少年誌連載の作品だから

 そんなにエロを強調してるわけじゃ

 ないと思うんだけど、

 高橋留美子さんの

  こういう生々しい描写って

 ちょっと凄いなって思うよ。

 青年誌連載の『めぞん一刻』だと

 もう一歩踏み出してる感じだよね。

 『ちょっと休もうか』とかさ」


『めぞん一刻』は、

『うる星やつら』とほぼ同時期、

1980年から1987年まで

『ビッグコミックスピリッツ』で

連載されていた作品で、

こちらもTVアニメ、ドラマ等々、

数々のメディアミックスをされている

高橋留美子さんの人気作です。


一刻館というアパートを舞台に、

浪人生の五代裕作と、

未亡人の新人管理人・音無響子を

中心にしたラブストーリーです。


『ちょっと休もうか』というのは、

単行本6巻収録のエピソードで、

大学の新入生歓迎コンパに参加した

五代君が、後輩の白石衿子ちゃんと

いう女の子と知り合うお話です。


「衿子ちゃんは彼と別れたばかりで

 寂しいさかりって設定でさ。

 ちょっと良い雰囲気になった

 五代君を誘おうとわざと深酒して、

 帰りに送ってもらうとするのよ。

 で、途中のラブホテル街で

 気分が悪くて動けなくなっちゃう。

 ラブホテルに連れ込みやすい流れを

 上手に作ってくれるわけよ」

「五代君も流石に空気を察して、

 『ちょっと……休もうか……』って

 ホテルに入ろうとするんだけど、

 そこで『や……やれる!!』って

 五代君のモノローグがあって、

 そのコマの背景に『くびびっ』

 ってオノマトペが入ってるのよ」

「この時の五代君はまだ童貞でさ、

 初めてセックスが出来るかもって

 昂ぶりが本当にすっごく生々しく

 表現されてるんだよね。

 高橋留美子さんは女性なのに、

 こういう男性心理を凄くリアルに

 捉えてるなーって感心したよ」


結局、ホテルに入る直前、

同窓会帰りの響子さんとばったり

鉢合わせしてしまい、

五代君の初体験は未遂となって

終わります。


「この辺のエピソードは

 ちょっと生々しすぎるせいか、

 TVアニメでは

 カットされちゃってるんだよね。

 まぁ当時ゴールデンタイムの

 放送だったから仕方ないけどさ、

 個人的には好きなんだよね」


インターネットの噂話によると、

この当時、高橋留美子さんは

五代君に早く初体験をさせたかった

らしいのですが、編集部の反対で

こうしたエピソードになったとか。


「……あ、ごめん、

 もう診察が終わったみたい」


そこでちょうど娘さんの虫歯治療が

終わって、今日の賀島さんとのお話は

ここまでになりました。


この連載も今回で第7回になります。

なるべく定期的に更新できるよう

私も頑張りますので、もし宜しければ

また私の話を聞きにきて下さい。


#6 ターゲットは555M

エロアニメの神様
04 /06 2022
さて今回は、
エロアニメシナリオライター・
賀島晴史郎さんの日常について
ご紹介したいと思います。

賀島さんの朝はとても早く……
と言うか、
大抵は夜中からずっと起きて、
自宅の隣にある仕事場で
作業をされています。
朝になると作業を中断、
朝刊を読んで朝食を食べて、
録画した深夜アニメを
チェックされたりします。
娘さん達の登校を見送った後、
8時位からお昼過ぎまで仮眠。

「午前中に電話とかしてくる
 業界人は殆どいないからね」
「新人の頃、午前11時に
 先輩ライターに電話したら
 『何時だと思ってるんだ!』って
 怒られたことがあったよ(笑)」

午後はやや流動的です。
締切に追われていれば
もちろん作業を続けますが、
そうでなければ
お風呂掃除やトイレ掃除をしたり、
週に一度は近所のスーパーに
買い出しに行ったり、
月に一度はお母様の通院に
同行したりされています。

夕方になると自宅に戻り、
娘さん達から
学校からの連絡事項を聞いたり、
プリントや宿題に
目を通したりされます。
ササッと入浴と夕食を済ませて
再び仕事場に戻ると
まずは仮眠をされます。
週に一度くらいは
映画のレイトショーを
観に出かけたり、
スーパー銭湯に行かれることも
あるそうです。

その後は明け方まで
またずっと作業……
これが彼の
大まかな一日の流れです。
ご飯を食べると
どうしても眠くなってしまう
ということで、
一日二食にされているとか。

あと、天候が悪い時には
娘さん達の学校や
習い事の送迎をしたり、
夜の作業中に業界のお友達と
長電話したり、
YouTubeを観たりすることも
あるそうです。

「……今更なんだけど、
 こんなオジさんの日常を
 紹介されて
 見てる人楽しいかな?(汗)」
「一つ気になったのですが、
 月に一、二度アフレコの
 見学に出かけるだけで、
 お仕事関係の外出が
 ほとんどありません」
「あー、そうだなー。
 打ち合わせも電話かメールの
 やり取りで済んじゃうことが
 多いしなー」
「これはやはり昨今の
 コロナ禍の影響なのですか?」
「いや、前からそうだよ。
 エロアニメは関わっている
 会社とスタッフが少ないからさ」
「他のアニメは違うんですか?」

「今はやり方が
 違うかもしれないけど、
 俺が昔TVアニメの
 シナリオ書いてた頃は、
 毎週一回打ち合わせがあったよ」
「2クールのTVアニメだと
 4~5人のライターがいて、
 それぞれ事前に提出した
 プロットとかシナリオを
 プロデューサーや監督と
 打ち合わせするの」
「自分の担当回以外でも、
 他のライターの
 打ち合わせを聞いて、
 プロデューサーや監督の
 考え方を聞いたり、
 作品に対する理解を
 深めたりするわけ」
「なるほど」

「ところがエロアニメだと、
 前後篇の全2話で
 ライターは一人だけなの。
 俺、300本くらい
 エロアニメ書いたけど、
 他のライターと一緒に
 仕事したことないからね」
「あと、長い付き合いのスタッフが
 多いからってのもあるかな。
 エロアニメを専業でやってる
 制作会社やスタッフって
 実は結構少なくてさ。
 メーカーさんも割と継続して
 仕事を発注してくれるから、
 もう20年近くの付き合いになる
 スタッフも結構いるのよ。
 そうすると、
 いちいち打ち合わせしなくても、
 お互い何となく求められてるモノ
 が分かってくるからね」

「そうなんですか……
 私、アニメ制作の
 打ち合わせというと、
 製作委員会とか原作元とか、
 色々集まって
 侃侃諤諤するものかと
 思っていました」
「エロアニメだと
 製作委員会って無いからねぇ」
「無いんですか?」

「製作委員会方式ってのは
 アニメの制作費を複数の企業で
 合同出資する形式でしょ?」
「はい」
「そもそも何でみんなが
 アニメに出資するかって言うと
 自分の会社で売る商品の宣伝に
 なるからなんだよね。
 原作のコミックや小説、
 ゲームソフトにソシャゲとか。
 あと本編のソフト化や配信、
 役者さんを使ったイベント、
 主題歌のCDやグッズとかとか」
「なるほどなるほど」

「ところがエロアニメだと、
 本編のソフト化と配信だけ
 なんだよね。
 グッズが出るにしても、普通は
 原作絵を生かしたモノになるし、
 役者さんが顔出しできないから
 イベントもまず難しいし、
 最近は制作費も厳しいから、
 ボーカルが入ったエンディングは
 作らないことが大半だし……」
「あらららら」
「なんせエロアニメは、
 18歳未満と大半の女性客を
 切り捨てちゃってるメディア
 だからね。
 他と比べて市場が狭いのよ」

「原作元の出版社さんや
 ゲーム会社さんはいかがです?
 出資して下さらないんですか?」
「これがねー、俺もそこそこ長く
 エロアニメ業界にいるんだけど、
 原作元が出資してるって話は
 聞いたことがないんだよねー」
「もちろん、原作元さんと
 現場が揉めてるわけじゃないし、
 原作本やゲームソフト、
 資料なんかはちゃんと貰えるし
 シナリオや絵コンテやキャラの
 チェックもして下さるんだけどさ」
「一体どういうことでしょう?」

「これは推論なんだけど、
 出資に値する宣伝効果が
 無いってことなのかなと……」
「えぇええぇっ!?……」
「TVアニメと比べちゃうと
 どうしてもねぇ……
 作品の宣伝をしようと思っても、
 エロじゃYouTubeとか
 普通の動画サイトは使えないし、
 アニメ誌でもエロアニメは
 取り上げてくれないしなぁ……」

そう言えば、私が産まれた日、
秋葉原の街を訪ねてみたら、
アニメイトさんではエロアニメを
扱っていなかったのでした。

「感覚としては、エロアニメは
 人気のエロマンガやエロゲーの
 関連商品の一つって感じかもなー」
「結局のところ、
 エロアニメに出資しているのは
 メーカーと一部の制作会社だけ
 なんだよね」
「メーカーさんと制作会社さんの
 違いを改めてお願いします」

「メーカーさんってのは、
 ピンクパイナップルさんとか
 メリー☆ジェーンさんとか
 エロアニメの販売レーベルを
 持ってる会社のこと。
 原作元と契約を締結して、
 制作会社にアニメを発注して、
 出来上がった映像をソフト化して
 販売するのがお仕事。
 作品全体のプロデュースって
 捉えてもいいかな」
「制作会社さんってのは、
 ティーレックスさんとか
 オフィス8番さんとか
 メーカーから発注を受けて、
 実際にアニメを作る現場のこと。
 俺はこの制作会社さんから発注を
 受けて、シナリオ書いてるわけ」
「映像業界では、
 メーカーが受け持つのは【製作】
 制作会社が受け持つのは【制作】
 なんて表現されるんだよね」
「なるほどなるほど」

……それにしても、
市場が小さいとか、
出資して下さる会社が少ないとか
こうして聞いてしまうと、
エロアニメの神様としては、
一抹の寂しさを感じてしまいます。

「……ま、
 そんなに落ち込むこともないよ。
 エロアニメ業界は
 もう40年近くずっとこんな感じで
 やってきたわけさ。
 逆に考えると凄くないかな?
 出資してくれる会社も少ない、
 関連商品やグッズもない、
 アニメ誌やアニメショップでの
 扱いや宣伝もないのに、
 こうやって今日も元気に
 生き残り続けてるんだからね」
「なるほど、そういう前向きな
 考え方もありますね」

「そうそう話は変わるけど、
 『ルパン三世』第二シリーズの
 『ターゲットは555M』
 今、無料配信されてるんだよね」
「はい?」
「今日初めて気が付いたんだけどさ
 8日までの期間限定らしいから、
 少しでも告知してほしいなー」

『ルパン三世』は
モンキー・パンチさんの原作で、
これまでに6度のTVアニメ化と、
劇場アニメ、TVスペシャル、
実写映画も製作された人気作品です。
賀島さんがお気に入りなのは、
幼少期に何度も観て慣れ親しんだ
TVの第1~2シリーズだとか。

 アバンタイトルが特に秀逸でね。
 全体の色調や自転車の使い方とか
 雰囲気も凄くいいんだけど、
 タイトルに入る直前の
 ルパンと次元の短い台詞の
 やり取りがとにかくカッコよくて
 痺れるんだよね~」

最近、ようやく私も
動画の張りつけ方を覚えたので、
皆さんにご紹介したいと思います。


賀島さんが急にまた
オタトークを始めたのは、
落ち込んでいた私を
励ますつもりだったのでしょうか?

神様である私が
ヒトに励ましてもらうというのも
何だかおかしな話なのですが、
私はほんの少しだけ
温かな気持ちになれました。

佐和山進一郎

エロアニメ・エロゲームのシナリオ
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