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#38 むらかみてるあき監督の話

エロアニメの神様
03 /21 2023
賀島さんのお話を伺っていると
【むらかみてるあき】監督の
お名前がしばしば登場します。
それだけ近しい間柄ということ
なのでしょうか?

「長いこと一緒に仕事をしている
 っていうのもあるけど、
 年齢がすごく近いんだよね。
 子供の頃とか学生時代に観ていた
 アニメやマンガが同じだから
 自然と話が合うんじゃないかな」

「初めて会ったのは
 私がピンクパイナップルさんで
 製作のお手伝いをしていた時、
 『新体操(仮)』の第2巻が
 発売された頃だから
 2003年の春ぐらいだったと思う」
『新体操(仮)』(全4巻)は
 業界内でもちょっと話題になった
 ヒット作でね。
 別作品の現場でも
 サンプルDVDがほしいって
 頼まれたりしてたんだ」
織賀進プロデューサーは
 制作現場上がりの人で、
 コンテでもキャラデザインでも
 厳しくチェックする人だったけど
 むらかみ監督の作品に関しては
 ほとんど一任してたからね」
「ほうほう」

「2004年に発売された
 『制服処女』(全2巻)でも
 製作のお手伝いをしたんだけどさ。
 その後、
 ピンクパイナップルさんの
 作品数が減少した時期があってね、
 彼の作品を販売するメーカーも
 彼自身が所属する制作会社も
 いくつか変わったんだよ」
「ちょうどその頃、
 私も会社から独立したり
 ライターに戻ったりした時期でさ、
 次に仕事で一緒になったのは
 2009年にpixyさんから発売された
 『監獄戦艦』(全4巻)だったね」
この作品で
 監督とライターとして組み始めて、
 そこからもう14年くらい
 ずっと一緒にやってるわけ。
 販売メーカーさんは変わったり
 してるけどね」

その後のお二人の作品歴は
以下の通りになります。
(因みにどの作品も全2巻構成です)

『妹ぱらだいす!』(2011年)
『ぜったい遵守☆
 強制子作り許可証!!』(2012年)
『特別授業3 SLG』(2014年)
『ケダモノ(家族)たちの住む家で』
            (2015年)
『魔将の贄3』(2016年)
『龍堂寺志門の淫謀』(2017年)
『虜の雫』(2019年)
『装煌聖姫イースフィア』(2020年)
『聖奴隷学園2』(2022年)

『特別授業3 SLG』
ミルキーズピクチャーズさんからの
発売でしたが、他の作品は全て
GOLD BEARさんから発売されいます。

「そうそう、
 2012年にピンクパイナップルさん
 から発売された
 『新体操(仮)
  コアMIXメガ盛りオカズですよ』
 も思い出深いね」
「これは新作じゃなくて、
 ダイジェストでまとめた映像に
 音声を新規収録した作品でさ。
 シナリオはもちろん、映像の構成も
 私が担当させてもらったんだわ」
「むらかみ監督には
 描き下ろしジャケットとアフレコ
 の監修だけお願いしたんだけどさ。
 彼の代表作である『新体操(仮)』
 にライターとして関われたのが
 凄く嬉しかったんだよね」

「前にもちょっと言ったけど
 むらかみ監督は
 絵コンテ・キャラクターデザイン
 原画を全部一人でやってるの。
 だから半年に一本くらいしか
 新作を発売できないんだけど、
 それだけ作品には
 彼の個性が凄く色濃く感じられる
 んだと思うよ」

「それだけ長いお付き合いとなると
 お二人はさぞ仲が良いんでしょうね」
「……いや……そうでもないかな?」
「あらららら?」
付き合いが長い分、お互い遠慮が
 無くなっちゃってるんだよね
「新作に取り掛かる時、
 原作ゲームの選択はメーカーさん
 が決めるんだけど、
 内容に関しては監督と私の二人に
 任せてくれるのよ」
「だから我々はいつも、
 各々がゲームをじっくり解析して
 構成の叩き台を作ってから
 電話で打ち合わせするんだけど、
 まあいつも侃侃諤諤でね。
 プロットにまとまるまでは
 色々とぶつかっりあってるよ」
「そうなんですか」
「まあ、監督の立場であれだけ
 しっかりゲームを解析する人は
 珍しいと思うし、それだけ作品に
 真剣だってことなんだけどさ」

「まあでも、
 プロットからシナリオ作業までは
 一か月も掛からないわけだし、
 その後の期間は
 オタク友達みたいなノリで
 最近見たアニメやマンガの話とか
 下らないことで長電話したり
 してるんだけどね」
 「なるほど」

「そうそう、むらかみ監督から
 教わった話なんだけど
 今日は最後に
 『まいっちんぐマチコ先生』
 オープニング『私はマチコ』
 紹介したいな」

『まいっちんぐマチコ先生』
えびはら武司さんのコミックを
原作としたテレビアニメで、
1981年から1983年に掛けて
全95話が放送されました。
制作はスタジオぴえろさん。
チーフディレクターは
案納正美さんです。

「有名な作品だから
 もちろん知ってはいたんだけど
 当時はまだ子供だったから
 詳しく覚えてなかったんだよね」
「ある時、むらかみ監督に
 オープニングアニメの最初のカット
 タイトルが出るまでのカットが
 凄いから見直してみて!
 ……って電話で言われて、
 ネットで動画を探してみたら
 確かに冒頭のカットだけが
 抜きん出て凄いのよ」
「レオタード姿のマチコ先生が
 リボンを華麗に振り回して、
 それがタイトルロゴになるまでの
 10秒ちょっとのカットなんだけど
 動きが綺麗で滑らかで、今観ても
 感心するレベルなんだよね~」

ではでは、
早速その動画をご紹介しましょう。

むらかみてるあき監督の思い出話は
もう少し続きます。

長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

#37 いつの日か

エロアニメの神様
03 /10 2023
さてさて、本日はエロアニメの
男性キャストについて
お話を伺いたいと思います。

「エロアニメってのは基本的に
 女性のエロい姿を映すモノだからさ
 その中で男性キャストに
 求められるのは、
 女性を上手に支えて
 如何にエロく輝かせるか?
 ってことなんだよね
「もちつきでお餅をひっくり返す
 返し手とか、
 フィギュアスケートのリフトで
 女性を持ち上げる男性スケーター
 みたいなイメージかな?
 自分が前に出て目立つんじゃなく
 相手を輝かせることに
 存在意義があると思うんだよね」
「なるほど」

「男性Dとかに配役されると
 何とか男性A~Cと差別化しよう
 とか爪痕を残そうとか考えて、
 すごく奇抜なお芝居をしたり
 アドリブを入れてくるような
 男性キャストさんがいるんだけど
 そうじゃないんだわ。
 自分が目立つことじゃなくて
 女性のこと、作品全体のことを
 考えてほしいんだよね

「大体、爪痕を残そうとか
 余計なことを考えなくたって
 ちゃんと自分の役割をこなしてれば
 音響監督さんだって、
 監督やプロデューサーさんだって
 ちゃんと見ているからね」
「そういうものですか」
「役者さんが関わるねは
 アフレコだけなんだけど、
 音響監督さんはその後に
 効果音や音楽を入れる
 ダビング作業があるわけだし、
 監督やプロデューサーは、
 更にその後に編集やモザイク入れ、
 DVDの検証盤チェック、
 告知ムービーの作成やらで
 同じ映像を何度も観るんだから」

「ただまあ、
 男性キャストさんってのは
 なかなか難しい仕事だと思うよ。
 さっきも言ったけど
 エロアニメの映像は
 女性をエロく映すものだから
 男性キャラは顔がまともに映る
 カットが少ないし
 オフ台詞ばっかりだからね

「ゲーム原作作品で、
 原作のキャストさんに出演を
 お願いする場合でも、
 男性キャストだけは
 原作ゲームに声が入ってないから
 当然新規の配役になるじゃない?」
「そうですよね」
「そうなると、
 女性キャストは物語も作品世界も
 最初から十分分かっているのに、
 男性キャストは一から勉強しなきゃ
 いけないわけさ

「ハーレムもので
 色んなタイプの女性キャラが
 主人公とエッチする作品だと
 女性キャストは
 次々に入れ替わっていくけど
 主人公の男性キャストは
 ずーっと出ずっぱりだからね

「その辺をよく理解しないで、
 メインは女性だからって
 男性キャストに経験の少ない
 役者さんを配役したりすると
 大変なことになっちゃうのよ。
 アフレコで男性キャストの
 リテイクばっかり増えちゃってさ。
 限られた収録時間なんだから、
 作品全体のためには、
 女性キャストの芝居を高める為に
 時間を使いたいんだよね」

「なるほど、こうして色々伺うと
 やはり男性キャストさんは
 なかなか大変なお仕事なんですね」

「そうそう、
 最近アフレコ見学に行って
 ちょっと聞いた話があるんだ」
「はいはい」
アフレコ用の動画を観てたらさ、
 音響制作会社さんの社名ロゴが
 テロップで薄く入れてあったのよ。
 これは何の意味があるんだろう?
 って思って聞いてみたら、
 アフレコ用の動画をコピーして
 違法に売ったりする人がいるから
 その対策なんだって
「制作会社さんのロゴがあると
 違法販売できなくなるんですか?」
「社名ロゴの入れ方のパターンで
 どのスタッフに渡した動画データ
 なのか分かっちゃうんだってさ。
 もしそんなことをする人がいても
 犯人が誰かすぐバレちゃう……
 ってことらしいよ」
「ははぁ……なるほど」
「作品によっては、
 動画データにスタッフの個人名を
 入れて渡したりするんだって」
なんと言うか……
 ちょっと世知辛いお話ですね
「まったくだよ。
 大昔はアフレコスタジオに来なきゃ
 映像なんか見られなかったし、
 役者さんはみんな当日に
 初見の映像で収録してたんだよ。
 それに比べたら、技術の進歩で
 随分と収録がしやすくなったのに
 ほんの一部の不心得者のせいで
 スタッフさんに余計な手間が
 掛かるんだから本末転倒だわ」
「ほんとですねぇ」

コロナも段々収まってきたから
 以前のようにキャストで集まって
 収録できるのかなと思ったけど
 それもまだまだ先みたいだしね
「近々、マスクの着用が任意になる
 とか伺いましたが、
 それでもまだダメなんですか?」
「キャストさんの事務所とか
 組合とかがやっぱり慎重みたい。
 なるべくキャストがまとまった方が
 お芝居や良くなるし
 収録時間も短くなるんだけどね
「収録時間の短縮は分かりますが、
 お芝居そのものも変わるんですか?」
「ゲームと違って、
 アニメは掛け合いがあるからね。
 やっぱり同じ空間に居て、
 相手のお芝居を受けてやった方が
 絶対に良くなるよ」
「まぁ、エロアニメのHシーンでは
 男女の台詞がどうしても被るから
 本番では別々に録っちゃうことが
 多いんだけどさ、
 テストで掛け合いをするだけで
 最初から全部別録りするのとは
 やっぱり全然違うと思うよ。
 いつかまた、元通りに収録できる
 ようになるといいんだけどね

「最後は少し雑談になりましたが、
 ではでは
 何かリクエスト曲があれば
 承りますよ」

「んじゃ、
『サイボーグ009』のエンディング
『いつの日か』を聞かせてよ」

『いつの日か』
作詞が八手三郎さん
作曲が平尾昌晃さん
歌はこおろぎ'73さんによるもので
1979年~80年に放映された
TVアニメ『サイボーグ009』
エンディングテーマです。


これはさ、映像と音楽が
 物凄く綺麗に融合している
 エンディングなんだよね
「まず、サイボーグ戦士たちが
 戦闘服のまま風に吹かれている
 ってシチュエーションがいい。
 エンディングを聴きながら
 思い思いのポーズで安らぐ彼らを
 見ていると、彼らがそれぞれ故郷を
 思っているように何となーく見えて
 くるのよ」
「9人のポーズは思い思いでも
 戦闘服が共通だから、
 彼らの絆もちゃんと伝わるし
 マフラーがなびいていることで
 風も感じられるわけ。
 動きの少ないエンディングだけど
 何とも味わい深いんだよね」

長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

#36 邪なエロアニメ

エロアニメの神様
03 /01 2023
「……昔のエロアニメを
 見返したりしてるとさ、
 すごく【邪な】作品を
 見かけることがあるんだよね」
邪なエロアニメ……ですか?」

「んーとね、
 ファンタジーものとかSFものだと
 分かりやすいかな。
 エッチシーンより、戦闘シーンや
 メカアクションシーンに
 力が入っちゃってる作品が
 たまーにあるんだよね
「それが【邪】というのは
 またどうしてでしょう?」

「エロアニメの経験が少ない
 スタッフさんなんだと思うけど、
 コンテマンとかアニメーターさん
 の邪な意図が透けちゃうんだよね。
 『今回はエロの仕事をやってるけど
  本当の自分は違うんだ。
  こういうカッコいいカットも
  描けるんだぞー』……ってね」
「ははぁ……なるほど」

エロアニメの仕事をやりたくない
 って人がいるのは分かるけど、
 そういう人は、やっぱエロアニメの
 お仕事を受けちゃいけないよね。
 作品の為にもお客さんの為にも
 ならないと思うし、
 何より本人の為にならないもの」
「本人の為にもですか?」
「仕事が無くて仕方なくエロアニメ
 の仕事を受けてるんだろうけど、
 邪な仕事をしてると、
 監督やプロデューサーはちゃんと
 分かっちゃうからさ。
 次の仕事には繋がらないと思う。
 お客さんだって、
 エロの為にソフト買ってるのに、
 エロ以外のアクションカットに
 力を入れられても困っちゃうし」

「改めてお伺いしますが、
 エロアニメにおける
 エッチシーン以外の描写について
 賀島さんはどう思われますか?」
エッチシーンに向けて昂りを作る
 【助走段階】って感じかな。
 女の子のキャラと魅力を出して、
 設定やシチュエーションを描く。
 特に難しいことじゃないんだよ」
「サメ映画やゾンビ映画だって、
 ずっとサメやゾンビが出っぱなし
 ってわけじゃないでしょ?
 サメやゾンビが来るかも来るかも
 ってドキドキ感を高めておくと、
 いざサメやゾンビが出た時に
 より昂奮出来るんじゃないかな?」
「なるほど」

ただこれは、あくまで
 エロアニメに限った話かな。
 30分のエロアニメだと、
 お客さんがパンツを脱いで観てる
 可能性もあるけど、
 エロゲーだとまた話が違うよね。
 ボリュームが多いエロゲーは
 一日で解くものじゃないから、
 構成の仕方が変わってくるかな。
 エロ以外のやり方でお客さんを
 楽しませる必要も出てくると思う。
 ……ま、この辺は門外漢だから
 詳しくは語れないけどさ」

「ところで、賀島さんは冒頭で
 『昔のエロアニメ』と
 仰っていましたが、
 近年のエロアニメではこうした
 傾向は見られないんでしょうか?
「そうだね、
 これは単純に制作環境の問題かな。
 昔みたいに1話30分で全4話って
 フォーマットだと、色々と遊びの
 シーンを挿れる事もできたけどさ、
 1話15分で全2話ってなると、
 もうお話を終わらせるだけで
 いっぱいいっぱいだからね」
「あと、前にも言ったけど
 最近はエロアニメの制作予算が
 著しく下がってるからさ、
 エロアニメをやりたくない人が
 ギャラのために仕方なく……
 ってケースは少なくなったのよ。
 今はTVシリーズの方が
 ギャラが高くなってたり、
 人手が足りないくらいだしね」

最後はちょっと
寂しいお話になってしまいましたが、
気を取り直して、
何かリクエスト曲をお願いします。

「そうだね、
 ビアリストックスさんの
 『差し色』を聞かせてよ」

こちらは2022年の4月~6月に
テレビ東京系列で放送された
ドラマ『先生のおとりよせ』
エンディングテーマです。

「いや実は、そのドラマは
 全然知らなかったんだけどさ。
 2023年の1月から放送されてる
 『もういっぽん!』ってアニメが
 今すっごくお気に入りでね。
 その放送中に
 ビアリストックスさんの
 アルバムのCMが流れるのよ。
 それを観てたら、
 『良い曲だなー』って思って、
 アルバムも買っちゃったんだわ」
「ははぁ……何と言いますか、
 面白いご縁ですね」
「でしょ?
 お気に入りの作品や音楽に
 こんな形で出会えたのが
 何だか妙に嬉しくってさ」


長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

佐和山進一郎

エロアニメ・エロゲームのシナリオ
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