2ntブログ

#68 映画館に思うこと

エロアニメの神様
02 /20 2024
以前にもお話したことがありますが
賀島さんのご趣味は映画鑑賞です。

最近は映画館に行かれる度に
Xにてレビューを書かれていますが
2022年は64本、2023年は73本、
本年も今日現在までに
11本の映画を鑑賞されています。

「昔に比べると、
 格段に映画が観やすくなったよね。
 事前にネットで座席指定予約が
 できるようになったりとか、
 外出先でも観たい映画の上映館や
 上映時間がすぐ調べられるように
 なってるからね」
あとシネコンの存在も大きいかな。
 私みたいな田舎住まいだと
 夕食後にひょいと車に乗って
 ジャージとサンダル履きで
 レイトショーを観たりできるのが
 すっごく助かるんだよね」

そんな賀島さんですが、
今日は映画館に対して
ちょっと物申したいとのことです。

「日頃楽しませてもらって
 本当にありがたいんだけどさ。
 劇場に行く回数が多いと
 どうしても気になってくる所って
 あるんだよね」
例えば映画のパンフレット。
 私は観た映画のパンフは
 必ず買うようにしてるんだけど
 これのサイズがまちまちなのが
 ちょっと悩みどころなんだよね。
 整理しようと思っても
 なかなか上手く収まらないの
「ははぁ……」
「チラシなんかは
 サイズが統一されてるんだし
 パンフも是非そうしてほしいな。
 装丁やページ数はまちまちでも
 全然構わないんだけどさ」

オタク気質といいますか
自分の趣味の世界では
ヒトは往々にして
神経質になってしまうようです。

「あと、パンフレットで言えば
 オタク向け作品の封切り日には
 なるべく大量にパンフレットを
 入荷しておいてほしいな
「どういうことでしょう?」
「ちょうど今だったら
 『ガンダムSEED FREEDAM』とか
 中高年のオタク向け作品って
 時々あるじゃない?
 『ゴジラ』『仮面ライダー』
 『ウルトラマン』とかさ」
「はいはい」
「そういう作品は、
 ファンが公開を待ち焦がれてるから
 封切り日の週末、金・土・日曜に
 一気に劇場に観に来るんだよ。
 そうするとパンフレットが
 瞬く間に売切になっちゃうって
 ことがちょくちょくあるんだよね
「もちろん、しばらく経つと
 再入荷されてるんだけど、
 パンフレットって劇場で観た時に
 買う人が大半だからさ。
 売切だったから、また後日に
 パンフだけ買いに来るって人は
 少ないと思うんだよ
「確かに」
「そうなると、映画館としても
 売上が減っちゃって勿体ないし、
 余ったら返品して公式から
 ネット販売したっていいんだから、
 封切り日の週末には、なるべく
 多めにパンフを入荷しておいて
 ほしいんだよね~」

おそらくこれも、賀島さんの経験に
よるものなのでしょう。

「それと、映画館の売店で売ってる
 飲食物にも思うところがあってさ
「何か欲しいメニューがあるとか
 金額が高い……とかでしょうか?」
「いやいや、むしろもっとメニューを
 少なくしてもいいと思ってるんだ
「あららら?」

映画館の売店っていうのは、
 上映直前の短時間にお客さんが
 集中する商売なんだよね。
 だからスピード感っていうのも
 すごく重視されると思うんだ。
 休日で混んでる時なんか特にね」
「そうなると、飲み物とか食べ物の
 種類をあんまり多くしない方が
 お客さんも迷わないし、
 早く提供できると思うんだよ

「そもそも、飲食物が目当てで
 映画館に来る人はいないだろうし
 あくまでメインは映画なんだから。
 ポップコーンの味やトッピングが
 色々あったりするより、
 レジが混まない方が嬉しいかな」
極論しちゃうと、匂いが無くて
 食べる時に音がしない物だったら
 何だっていいかなって思うくらい。
 そういう食べ物があるなら、
 新メニューにも賛成だけどね
「なるほど」

「最後にもう一個だけ。
 映画館では大抵、上映時間の
 10~15分前に開場されるんだけど
 ここから上映開始までに
 色んな告知映像が流れるのよ。
 地元の企業のCMとか
 映画館のキャンペーンとか
 制作中の映画の情報とか」
「映画の予告編とは別なんですか?」
「そう、実は別なのよ。
 ここがちょっと問題かなと思ってて
 開場してすぐに入場したお客さんは
 映画が始まる前に10分の告知映像
 を観て、その後でまた10分位の
 予告編を観ることになっちゃうの
「ははぁ……」

「日頃、映画を観ない人の中で
 『予告が長すぎるのがイヤ』
 っていう感想があるんだけど
 これが原因かなと思ってるんだ。
 映画本編を楽しみにしてるのに
 告知と予告で20分近くあったら
 ちょっとイヤになっちゃうよね」
「何か対策はあるのでしょうか?」
チケットの販売機や場内の案内で
 予告の上映開始と本編の上映開始
 の時刻を分けて表記する……
 くらいなのかなぁ?
「なかなか難しい問題だと思うけど
 場合によっては、
 上映前の告知映像である映画の
 キャンペーン映像を観て、
 上映後の予告編でまた同じ映画の
 予告編が流れることもあるんだよ
「宣伝・告知はすごく大切だけど、
 お客さんから『クドい!』って
 思われちゃったら本末転倒だし、
 その辺の配慮は必要かもね」

こうして書き連ねてみると、
賀島さんはちょっと
面倒臭いお客さんなのかな?……
と感じてしまうのですが、
それだけ映画に愛情があるのだな
とも思うのです。

エロアニメのお仕事を引退した後、
老後には映画館でアルバイトをする
のが理想だと仰っていましたので、
その際にはぜひ、これらの問題に
取り組んで頂きたいと思います。

「さてさて、では最後に
 本日のリクエストをお願いします」
「1983年に公開された映画
 『ザブングルグラフィティ』
 エンディング『GET IT!』
 紹介したいな」

こちらの映画は
1982年から放映されたTVアニメ
『戦闘メカ ザブングル』
再編集した劇場版で
監督は富野由悠季さんです。

エンディングの『GET IT!』
作詞が売野雅勇さん
作曲が馬飼野康二さん
歌はMIOさんです。

この映画はラストシーンが
 新規アレンジされててね。
 TV版と比較して観てほしいんだ
「失明して孤独に去っていく
 ヒロインの一人、エルチ
 主人公のジロンが迎えに行って、
 続けて仲間たちも駆けつける
 っていうラストシーンで、ちょっと
 カーテンコールっぽいんだけどさ。
 劇場版ではそこに死んだはずの
 美形キャラ・アーサーが現れて
 エルチをさらってっちゃうの」
「ほうほう」

「TV版では挿入歌の
 『HEY YOU』が流れる
 しっとりしたラストなんだけど
 劇場版ではコミカルに大騒ぎして
 カラッと終わっていくんだよね」
「当時劇場で鑑賞したんだけど、
 何て言うかこっちのラストの方が
 ザブングルらしい感じがして
 この大胆なアレンジが
 すごく印象に残ってるんの
『GET IT!』
 アップテンポで激しめで
 この劇場版のラストシーンに
 ぴったりハマってる曲だと
 思うんだよね。
 エンディングロールでは
 TV版の名場面が流れるんだけど
 この編集のテンポもよくて
 すごく好きな演出なんだ」

ではでは、
TV版最終回『みんな走れ!』
ラストシーンと
劇場版のラストシーンを
続けてご紹介しましょう。

長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日・30日前後に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

#67 エロアニメの原作とシナリオ

エロアニメの神様
02 /13 2024
TVドラマ『セクシー田中さん』
脚本制作にあたってトラブルがあり、
結果として原作の芦原妃名子さんが
自殺されてしまうという大変悲しい
出来事がありました。

これに伴い、昨今ネットやSNS上では
映像化作品の原作と脚本について
論じられることが多くなっています。

ではでは、我らがエロアニメ業界では
シナリオの制作にあたって、
原作元さんとどのような話し合いを
されているのでしょうか?

エロアニメの場合、
 原作元さんの力ってすごく強いと
 思うんだよね
「強い?」
「今まで350本以上のエロアニメの
 シナリオを書かせて貰ったんだけど
 その中で原作が無いオリジナルの
 作品って5本しかないのよ」
「エロアニメの黎明期には
 オリジナルの企画もあったんだけど
 少なくともこの20年ちょいの間は
 オリジナル作品は殆ど無いと思う

「ついでに言うと、
 エロアニメの制作に対して
 原作元さんが出資したって話は
 この業界に入ってから一度も
 聞いたことが無いんだよね
「つまりはさ、
 エロアニメに出資しても
 それに見合うだけのメリットが無い
 原作のゲームやコミックの売上に
 そんなに貢献できないっていう
 ことなんじゃないかと」
「それはまた……寂しい話ですね」

「ここからは私見なんだけど
 近年のエロアニメっていうのは
 売れてる原作の関連グッズとして
 出させて貰ってる印象なんだよね。
 ノベル化とか抱き枕化とか
 おっぱいマウスパッド化とかと
 同列になってるのかなと」
「ははぁ……なるほど」

「前置きが長くなったけど
 まぁそんな感じの状況だからさ。
 メーカーさんも制作会社さんも
 原作元さんの要望は
 極力尊重してると思うんだよ

「ただ、制作の進め方として
 意識してることはあるよ」
「制作の進め方?」
「シナリオで言えば、
 最初のプロット案は制作現場から
 提示することが先ず大事だね」
最初のアイディア出しを
 原作元さんに委ねてしまうと、
 どうしても詰め込み気味になるのよ。
 全体の分量・シーンが多すぎたり
 キャラや衣装替えが多すぎたり
 場面転換が多すぎたりしちゃうの」
「折角のアニメ化だから
 色々と詰め込みたくなる気持ちは
 すごくよく分かるんだけど、
 30分のアニメって意外と短いし、
 キャラや衣装、設定が増えると
 制作予算はしんどくなるしね
「まあそもそも、
 原作がゲーム作品だったりすると
 全2話とかじゃ分量的に
 全部収まるわけないんだから
 その辺、アレンジが必要なことは
 大抵の原作元さんは
 最初から分かってくれてるけどね」

「キャラクターデザインだって
 原作元さんが手掛けると
 どうしても線が多くなりがちだし
 キャストに関しても、
 原作元さんに希望を聞けば、
 有名な役者さんばっかりになって
 やっぱり予算が足りなくなる」
「なるほど」

だから最初の叩き台は
 アニメの制作現場から出して、
 そこに原作元さんからご意見を
 もらうのが一番スムーズに行く
 やり方だと思うんだよね
「もちろん、現場のやり方を強引に
 押し通すんじゃなくて、
 原作元さんの要求にはキッチリ
 対応して修正するんだよ?
 応じられないのは
 予算に関わってくる問題くらいかな」

「これまでのシナリオ制作で
 原作元さんとトラブルになった事は
 なかったのですか?」
トラブルにならないように
 対応してる……って感じかな
「プロットやシナリオの修正で
 『むむむ?』と思うような内容を
 指示されることもあるんだけど、
 そういう時は
 指示された通りの修正に加えて
 自分なりのアイディアを別案として
 併記するようにしてるの
「ほほう」
そうすると、もし自分のアイディア
 を採用されなかったとしても、
 意外とスッキリして
 気持ちを切り替えられるんだよね。
 ライターなんだから、書いた物で
 評価されたんなら
 今回は仕方ないって思えるんだ」
「今回は?」
「そうそう。
 アイディアがボツになったからって
 それで全部終わりじゃないからね。
 また別の仕事で生かせることが
 あるかもしれないんだから、
 自分の中にキープしておけばいい。
 無駄にはならないんだよ」
「……まあこれは、
 原作元さんとの話だけじゃなくて
 監督さんや制作さんも含めた
 打ち合わせ全般に言える話だね」

「そもそも、
 お金を貰って請ける仕事で
 全部自分のやりたいようにやるって
 いうのは少しおこがましいよね。
 もしそれをやりたいなら、
 同人制作とか自分が全額出資する
 作品でやればいいと思うんだ」

「あと、メールとか文章のやり取りで
 話がこじれそうになった時は、
 制作さんにお願いして、
 対面の打ち合わせをさせてもらう
 ようにしてるよ
「文章のやり取りだと
 こちらから制作会社に提出して、
 そこからメーカーさんに提出して
 さらに原作元さんに提出する……
 っていう段取りになるんだけどさ。
 このやり取りが多くなると、
 時間ばっかり掛かっちゃって
 どうしようもないんだよね。
 だったら、直接会って打ち合わせ
 しちゃった方がずっと早いし、
 お互いに腹を割って話せるから
 いい感じにまとまっちゃうことが
 結構多いんだよね

「一つ言っておきたいんだけど、
 こういう色んな立場の人の
 意見のぶつかり合いっていうのは
 作品にとってすごく良いことだと
 思うんだ
「原作者さんも、メーカーさんも
 我々スタッフやキャストさんも
 いがみ合ってるわけじゃなくて
 それぞれが映像作品を良いモノに
 しようと頑張ってるんだもん
「ただ単に自分が楽したいなら
 原作を写経みたいに丸写しした
 シナリオを書いたり、
 原作絵をコピーして貼り付けた
 コンテを書いたりもできるけど、
 ぶつかり合ってでも皆で知恵を
 寄せ合って作品を練り上げた方が
 お客さんも喜んでくれるし
 関わった我々もスキルアップが
 できると思うんだよね

「ではでは、
 『セクシー田中さん』の脚本制作
 におけるトラブルについて、
 何か思うところはありますか?」
「エロアニメとTVドラマじゃ
 制作現場のシステムもやり方も
 色々と違うんだと思うし、
 私が偉そうに言えることは
 あんまり無いんだよね。
 ただ一つ言えるなら、SNSの使い方
 がまずかったんじゃないかなと
「ほうほう」

制作現場で
 何らかのトラブルがあったとして、
 それをSNSで暴露しても
 メリットなんて一つも無いんだよ
「ドラマを見てくれているお客さんや
 原作ファンが喜ぶわけもないし、
 私みたいに関係ない人たちも
 あれこれ言いだしちゃうわけだし
 作品の評判が悪くなるから出演者
 やスタッフ・関係者も嫌がるし
 SNSで暴露した本人だって
 この人はこういう話を公にする
 面倒臭い人なんだって
 周りから思われちゃうんだから」
「どうしても譲れない意見があるなら
 制作現場で徹底的に話し合えば
 良かったんだろうと思うんだ。
 作品が世に出たあとで
 あれこれと恨み言を暴露するのは
 ちょっと大人気ないかなと」

原作者さんも脚本家さんも
 出版社さんもTV局も、
 自分の言葉を公にするっていうが
 どれほど重いことなのか
 よく知ってるはずなんだよね。
 私もライターの端くれだから、
 その辺はより慎重に考えなくちゃ
 いけないなと思わされたよ」

さてさて、では最後に
本日のリクエストですが……

「今日の話とは関係ないんだけど、
 最近、Official髭男dismさんの
 『SOULSOUP』
 お気に入りなんだよね」

こちらの曲は2023年に公開された
『映画SPY×FAMILY CODE:White』
主題歌で、
作詞・作曲は藤原聡さんです。

「一見、スープの話をしているようで
 そこに人生や家族に繋がってくる
 ワードが絶妙に散りばめられてる
 歌詞なんだよね」
「公式のミュージックビデオに
 歌詞を合わせた動画があるから
 今日はそっちを紹介したいな」


「あと、この曲を使った
 SpotifyさんのCMも観てほしいな。
 女の子がノリノリで
 『SOULSOUP』を聞いてると
 部屋に母親が入ってきちゃって
 大慌てするって内容になんだけど、
 彼女のお芝居がすごくキュートで
 面白いんだよね」


長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日・30日前後に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。

佐和山進一郎

エロアニメ・エロゲームのシナリオ
エロ小説のお仕事、随時募集中!
メールフォームまたはツイッターの
DMにてお問合せ下さい