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#7 酔っぱらいブギ

エロアニメの神様
04 /12 2022
その日、私が賀島さんを訪ねると、

小学生の娘さんの付き添いで

歯医者さんに居られました。


娘さんの治療が終わるまでの

時間潰しだったのでしょうか。

賀島さんはまたエロアニメのお話を

して下さいました。


私の姿は他のヒトには

見えておりませんし、

私達の会話はお互いの頭の中だけに

聞こえていますので、

こんな時には都合が良いのです。


「……『うる星やつら』

『酔っぱらいブギ』って

エピソードがあるじゃない?」


以前にもご紹介したことがありますが、

『うる星やつら』は

1978年から『週刊少年サンデー』に

連載されていた高橋留美子さんの

コミック作品です。


『酔っ払いブギ』というエピソードは、

連載当時の単行本11巻に

収録されているお話です。

1982年にTVアニメの第42回として

映像化もされております。


舞台はお昼時の友引高校。

宇宙人のラムちゃんとテンちゃんが

お弁当に入っていた梅干しを食べると、

何故か【酔っぱらって】しまいます。

酒乱状態になった二人を巡って

ドタバタコメディが展開されます。


「……ラムちゃんって言うと

 虎柄ビキニがトレードマーク

 だって思われがちだけど、

 ラムちゃんの【お色気】を

 強調したエピソードって

 実はあんまりないんだよね。

 初登場の時、

 諸星あたると鬼ごっこをして、

 ビキニのトップを取られちゃう件

 があるけれど、

 それ以降はあんまりエッチに

 描かれた印象はないかなー」

「そうなんですか」

「あたるを追いかけて

 友引高校に入学してからは、

 登校時は制服を着てるし、

 休日に外出するエピソードでも、

 普通の女の子みたいな

 私服を着てたりするからね」

「なるほどなるほど」


「要するにね、

 作中の登場人物もユーザーさんも、

 ラムちゃんのビキニ姿っていう

 【刺激】

 【慣れちゃって】いたわけよ」


エロアニメやアダルトメディアの

【刺激】【慣れ】については、

こちらのお話で賀島さんが

詳しく解説されております。


「で、『酔っぱらいブギ』

 の話になるんだけど、

 酔っぱらったラムちゃんが

 『熱いっちゃ……』とか言いだして

 教室で制服を脱ぎだすんだよね。

 あたる以外の男子は生唾ゴックン

 で色めき立つんだけど、

 制服の下は例の虎柄ビキニでさ。

 しのぶたち女子生徒から、

 『ばかみたい!

  なに興奮してんのよ!!』

 『ラムのいつもの

  スタイルじゃないの!』

 なーんて言われちゃうんだよね」

「ほうほう」


「いつものスタイルなのに

 いやらしく感じてしまうのは

 どうしてなんでしょう?」

「それはね、

 酔っぱらってる女の子が、

 目の前で制服を脱ぐという行為で

 【昂ぶり】が表現されてるから

 なんだよね。

 前も言った通り、

 メディアによる性的な【刺激】

 【右肩上がりに段々強くしていく】

 のが大事だからね」


「彼女が酔っぱらっているという

 要素も意味がありますか?」

「大いにあると思うよ。

 酔っぱらって気だるげな雰囲気に

 なると、女の子は色っぽくなるし

 隙だらけに見えちゃうからね。

 そこに付け込んで

 やらしいことをしちゃおうって

 下衆な男はいっぱいいるよ」


現実にそうした行動をしてしまうと、

うっかりしたら犯罪になりますので

欲望が昂ぶってしまった時は、

是非是非エロアニメを観てスッキリ

してほしいと私は思います。


「もう一つ、細かい話なんだけど

 実はこの回のラムちゃんのビキニは

 いつものスタイルじゃないのよ」

「と言いますと?」

「いつものスタイルなら、

 ビキニに合わせて

 虎柄のブーツを履いてるんだけど

 この回は登校中のお話だから

 足元がソックスと室内履きなのよ。

 そのせいでいつもの虎柄ビキニが

 ちょっとだけ普通じゃない状態に

 見えちゃってるわけ」

「なるほど」


「もちろん、『うる星やつら』は

 少年誌連載の作品だから

 そんなにエロを強調してるわけじゃ

 ないと思うんだけど、

 高橋留美子さんの

  こういう生々しい描写って

 ちょっと凄いなって思うよ。

 青年誌連載の『めぞん一刻』だと

 もう一歩踏み出してる感じだよね。

 『ちょっと休もうか』とかさ」


『めぞん一刻』は、

『うる星やつら』とほぼ同時期、

1980年から1987年まで

『ビッグコミックスピリッツ』で

連載されていた作品で、

こちらもTVアニメ、ドラマ等々、

数々のメディアミックスをされている

高橋留美子さんの人気作です。


一刻館というアパートを舞台に、

浪人生の五代裕作と、

未亡人の新人管理人・音無響子を

中心にしたラブストーリーです。


『ちょっと休もうか』というのは、

単行本6巻収録のエピソードで、

大学の新入生歓迎コンパに参加した

五代君が、後輩の白石衿子ちゃんと

いう女の子と知り合うお話です。


「衿子ちゃんは彼と別れたばかりで

 寂しいさかりって設定でさ。

 ちょっと良い雰囲気になった

 五代君を誘おうとわざと深酒して、

 帰りに送ってもらうとするのよ。

 で、途中のラブホテル街で

 気分が悪くて動けなくなっちゃう。

 ラブホテルに連れ込みやすい流れを

 上手に作ってくれるわけよ」

「五代君も流石に空気を察して、

 『ちょっと……休もうか……』って

 ホテルに入ろうとするんだけど、

 そこで『や……やれる!!』って

 五代君のモノローグがあって、

 そのコマの背景に『くびびっ』

 ってオノマトペが入ってるのよ」

「この時の五代君はまだ童貞でさ、

 初めてセックスが出来るかもって

 昂ぶりが本当にすっごく生々しく

 表現されてるんだよね。

 高橋留美子さんは女性なのに、

 こういう男性心理を凄くリアルに

 捉えてるなーって感心したよ」


結局、ホテルに入る直前、

同窓会帰りの響子さんとばったり

鉢合わせしてしまい、

五代君の初体験は未遂となって

終わります。


「この辺のエピソードは

 ちょっと生々しすぎるせいか、

 TVアニメでは

 カットされちゃってるんだよね。

 まぁ当時ゴールデンタイムの

 放送だったから仕方ないけどさ、

 個人的には好きなんだよね」


インターネットの噂話によると、

この当時、高橋留美子さんは

五代君に早く初体験をさせたかった

らしいのですが、編集部の反対で

こうしたエピソードになったとか。


「……あ、ごめん、

 もう診察が終わったみたい」


そこでちょうど娘さんの虫歯治療が

終わって、今日の賀島さんとのお話は

ここまでになりました。


この連載も今回で第7回になります。

なるべく定期的に更新できるよう

私も頑張りますので、もし宜しければ

また私の話を聞きにきて下さい。


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佐和山進一郎

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