#17 ビリーバーズ
エロアニメの神様エロアニメやエロゲー、エロマンガ
といった二次元エロメディアには
【淫語】と呼ばれる表現が
多用されています。
ウィキペディアを覗いてみると
【淫語】とは、
【いやらしい言葉
淫らな言葉を指すスラング】
ということだそうです。
「淫語ってのは、二次元エロメディア
にとって実に面白い要素だよね」
「面白い?」
「例えばさ、挿入中のシーンで
よくこんなセリフ書くんだよね」
『……やぁっ……あっ……はっ……
あぁああっ……だっ……だめぇっ
……そんなっ……激しくしないで
ぇええっ……あ……熱いのが……
奥にっ……奥に当たってぇっ……
ああぁっ……すごぃいいぃっ……』
「……ところがさ、実際セックスの
途中でこんなに喋る女の子いないし
もしAVとかピンク映画で女優さん
にこんなに喋らせちゃったら
不自然に見えると思うんだよ。
だから淫語ってのは、
二次元エロメディアならではの
特徴だよね」
「なるほど」
「もちろん、ずーっとこの調子で
全編淫語を喋り続けていると
逆にうるさく感じちゃうからさ。
エロアニメだと喘ぎだけのセリフも
入れたりして、バランスを取って
るんだけどね」
「エロゲーだともっと淫語連発で
畳みかけるのもアリなんだろうけど
エロゲーの画像は基本静止画だし
ユーザーが自分でクリックして
タイミングを調整できるから
うるさく感じないと思うんだ」
「エロゲーが原作の
エロアニメシナリオを書く場合、
良い言い回しの淫語があると、
ついつい、どんどん盛り込みたく
なっちゃうから、その辺は自主的に
気をつけてるよ」
「……あとね、
さっき例に挙げたセリフだけどさ。
実は、絵で見れば分かることを
敢えてセリフにしてるんだよね」
「あらららら?……
言われてみれば確かに……」
「激しく動いてるのも、熱いのが挿入
されてるのも、見れば分かるし、
女の子がちょっとメロメロなのも
表情で伝わるでしょ?」
「極端な例えをすると、
笑っている女の子にセリフで
『私、楽しくて笑ってるの!』
って言わせてるみたいなもんだよ。
よくよく考えるとおかしいんだけど
不思議と違和感は無いんだよね」
「元々は静止画メインのエロゲーで
キャラの動作を補足する意味が
あったんだと思うけどさ、
女の子が、敢えてHな言葉を喋る
っていうのが、二次元エロでは
実に効果的だったんだよね……
面白いじゃない?」
「同じエロでも、メディアによって
特性の違いがあるわけですね」
「うん、そうだと思うよ。
エロアニメには
動画ならではの良さがあるけどさ、
エロゲーみたいなボリュームが
あるマルチエンディングの物語は
展開できないし、
エロゲーのCGみたいな細かい
書き込みはアニメには無理なのよ。
エロマンガには、描き文字やエロ
擬音の魅力があるし、
低価格で買えるのもポイント高い」
「どれも甲乙付け難いわけですね」
「甲乙なんて
そもそも付ける必要がないんだよ。
何度か言ってるけど
【エロメディアは刺激のメディア】
だからさ。
お客さんがなるべと飽きないように
エロメディアの選択肢は多い方が
良いと思うよ」
「二次元エロが好きなお客さんだって
エロアニメしか絶対観ませんって
人はあんまりいないでしょ?
昂奮できそうな作品があれば
エロゲーだってエロマンガだって
買うことはあるだろうしさ」
「同じエロアニメでもさ、
学園もの、ファンタジーもの、
純愛もの、レイプもの、痴女もの
巨乳もの、ハーレムもの……
色んなジャンルがあった方が
配信サイトに定額見放題で
加入してくれてるユーザーさんは
嬉しいじゃない?」
「なるほど、そうですね」
「二次元エロメディアの話からは
ちょっと逸れちゃうんだけど、
エロゲー原作じゃないエロノベル
いわゆる官能小説だとさ、
表紙でも挿絵でも、敢えて女性の
表情をハッキリと描かなかったり
するんだよね」
「どうしてですか?」
「特定のビジュアルを出さないことで
読者それぞれが好みに合った理想
の女性の姿をイメージできるよう
にしてるんだよ」
「ははあ……なるほど」
「だから官能小説にはHなビジュアル
はほとんど付いてないわけ。
それでも、駅のホームの売店には
官能小説が何冊か置いてあったり
するんだよね。
ホームの売店はスペースが狭いから
需要が少ない商品は置かない……
言い方を変えると、それだけ需要
があるってことだよね」
「昔と違って、スマホやタブレットを
使えば、外出先でもエロメディア
を楽しむことは幾らだってできる
はずなのにさ」
「つまりそれだけエロメディアには
多様性が求められてるんだよ」
「ラーメン、カレー、牛丼、お寿司
……この中でどれが一番美味しい
なんて考えても意味が無いよ。
食事は毎日食べるんだから、
色んなお店、色んなメニューの
選択肢があった方が飽きなくて
いいと思うんだよね」
食べ物の例え話が出てきたのは
夕食時が近いからかも知れません。
私はそろそろお暇した方が
良さそうです。
「……そうそう、先月レイトショーで
『ビリーバーズ』を観たんだよ」
『ビリーバーズ』は7月8日に公開
されたR15+指定の劇場映画です。
山本直樹さんが1999年に描かれた
コミックが原作になっています。
とある宗教団体に所属している
二人の男性と一人の女性が
教団のプログラムの一環として
無人島で生活する姿を描く作品です。
「エロをモチーフにした映画は、
エロメディアとはまた違った特性
があるんだよね。
いくらR15+やR18+であっても
あんまりガンガン昂奮を煽っちゃ
ダメだと思うんだ。
劇場でオナニーするわけには
いかないんだからさ」
「確かに」
「このお話はさ、
無人島で男女三人の共同生活とか
素足になって、足の裏を合わせる
宗教団体の儀式とか、
直接的じゃないんだけど、
じわーっと官能を掻き立ててくる
感覚ですごく心地よいんだよね」
「宗教団体のプログラムで
【自分が見た夢を告白する】
ってのがあるんだけどさ、
非日常的な生活で、段々人間の欲望
が剥きだしになっていく姿が
虚実曖昧に見えてくるお話でさ。
終盤は結構エキセントリックな
展開なんだけど、それがすごく
シュールで面白かったよ。
レイトショーで観たのが
また良かったのかもしんない」
「山本直樹さんの作品は、
映画とすごく相性が良いと思うよ」
ではでは、
予告編動画をご紹介しておきますね。
公開から間もなく一か月が経ちますが
まだ公開中の劇場さんも、
これから公開される劇場さんも
数多くあるようです。
ご興味のある方はぜひ。
淫語のお話から思わぬ方向に
話題が膨らんでしまいましたが、
今回のお話はこの辺で。
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