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#16 でもそれは今日じゃない

エロアニメの神様
07 /25 2022
賀島さんはこれまでに
何人もの監督さんとご一緒に
お仕事をされてきました。

早川ナオミ監督
荒木英樹監督
太多秀太監督
雷火剣監督
辰美監督
むらかみてるあき監督

実はこちらの監督さん達は、皆さん
賀島さんより年長の先輩なのです。

「あー、そうだね。
 むらかみ監督は一歳上だから
 ほとんど友達みたいに
 親しくさせてもらってるけど
 一応先輩だからなー」
「まあでも、監督だけじゃなくて
 プロデューサーでも音響監督でも
 年下の人とお仕事したことって
 あんまりないんだけどね」

さて、そこでふと思うのですが
賀島さんは何だかんだで
もうアラフィフ世代なのです。
そう考えると、エロアニメ業界も
高齢化が進んでいるような……

「いや勿論、アシスタントの子とか
 年下のスタッフもいるんだけど、
 各部門の責任者は先輩が多い……
 っていうか、昔からずーっと同じ
 スタッフでやってきたって感じかな」
あくまで俺の周りの話だけどさ、
 新規にエロアニメを制作したい
 っていういう制作会社さんが
 あんまり無いんじゃないかな?
「それはやはり、それだけ難しいと
 いうことなのでしょうか?」
「ううん、そうじゃなくて、
 単純にあんまり儲からないというか
 メリットが少ないからじゃないかと
「あらららららら?」

「俺が初めてエロアニメのアフレコを
 見学したのが、2003年発売の
 『臭作~Liberty~』後編でさ。
 その当時はエロアニメの予算って
 TVアニメより高かったんだよね」
「そうなんですか?」
エロアニメが一般作のOVAと
 同じカテゴリーだったからね。
 ソフトを買うか、レンタルするか
 しかなかった当時は、TVアニメ
 より高い予算で高いクオリティで
 あることが要求されたんだよ

「そもそもエロアニメはTVに比べて
 市場が小さいし、女性スタッフは
 嫌がるし、制作会社としては
 デメリットのある仕事なんだよ。
 ただ、TVに比べて予算が高くて
 スケジュールに融通が利くから
 引き受けてくれてたんだよね」
「なるほど」
……ところが、段々ソフトの売上が
 落ちてきて、制作費も少しずつ
 下がってきちゃってさ。
 Netflixさんとか、海外資本のTV
 アニメが増えてきている昨今、
 うっかりするとTVアニメの方が
 予算が高かったりするんだよね。
 そうなると、デメリットがある
 エロアニメを新規に作りたいって
 会社はいなくなるよね

「今、この業界を支えているのは、
 以前からずーっとエロアニメを
 作ってきたスタッフさん達だよ」
「……ちなみに予算というのは
 今も下がり続けているんですか?」
「いや、流石にここ何年かで
 下げ止まったんじゃないかな?
 いくら昔からの付き合いとはいえ
 これ以上下がったら本当にみんな
 TVに流れちゃうだろうし」
「それは困りますね」

もちろん、メーカーさんも現場も
 色々と努力はしてるんだよ?
 だってそうだし、
 カット数や動画枚数を節約する
 のはもちろん、シナリオ段階でも
 キャラの人数を絞ったり、
 場所の移動を少なくしたりとかね」
「なるほど」
あとは制作システムの工夫かな。
 荒木英樹監督や太多秀太監督、辰美
 監督は、自分の制作会社を持って
 らっしゃるるけど自宅を作業場に
 して殆ど個人事業でやってるし、
 むらかみ監督なんかは以前から
 キャラデザインと絵コンテと原画
 を全部一人でやってるんだ。
 こうすると演出とか作画監督に
 カットを回す必要が無くなるから
 制作進行の人件費が省ける」

……でもこうしてお話を伺っていると
やはりエロアニメ業界の現状は
厳しいように感じてしまいます。

「……まぁ、人間の命に限りがある
 のと同じでさ、エロアニメだって
 永遠不滅ってわけじゃないよ、
 必ずいつか終わりが来る。
 『でもそれは今日じゃない』

賀島さんが引用したのは、
コロナ禍で何度も公開が延期されて
2022年5月にようやく公開された
『トップガン マーヴェリック』
の一節です。


「この言い回しはカッコ良いよね~
 『ロード・オブ・ザ・リング
  王の帰還』(2003年)や
 『バトルシップ』(2012年)や
 『ハイキュー!!』(2012年~)、
 トレーディングカードゲームの
 『マジック:ザ・ギャザリング』
 でも同じような言い回しがある
 けどさ、やっぱり痺れるよな~」

「……もしかして、この台詞が
 言いたかっただけですか?」
「いやいや、そうじゃないけどさ。
 『トイ・ストーリー2』(1999年)
 のラストにもあるじゃない?
 バズとウッディの会話でさ」

『心配か?』
『アンディの成長が?
 いいや、今を楽しむさ』
『その意気だ』
『別れが来ても――
 俺にはバズがいる
 無限の彼方まで』

子供が成長していつかはウッディ
 たち玩具から離れる日が来る。
 別れが来るのは避けられないって
 ことは十分分かっているのにさ、
 それに対して無理に抗ったり、
 認めなかったりするんじゃなくて、
 それまでの時間を懸命に生きよう
 って精神はさ……
 何て言うか美しいと思うんだよね

エロアニメ業界に
いつ終わりが来てしまうのか
それは誰にも分かりません。
ただその日が来るまでに
私もこんな風に
美しくあれたらと思うのでした。

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佐和山進一郎

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