2ntブログ

#20 はいからさんが通る

エロアニメの神様
09 /19 2022
賀島さんはお仕事に関しては
大変に几帳面な性格です。
シナリオや資料等のデータは、
作品毎にフォルダ分けして
パソコン本体に保存しており、
外付けハードディスクに
バックアップもされています。

またデータとは別に、
印字したプロットやシナリオを
作品毎にクリアファイルにまとめて
保存されているのです。

「シナリオを執筆する時、
 プリントアウトしたプロットに
 メモしながら書いてるのよ。
 あと、打ち合わせの時には
 プリントアウトしたシナリオに
 書き込みながら話をするからね。
 そういう紙資料も参考のために
 一応保存してるわけ」

そんな賀島さんのデータファイルの
中に【打ち切り】というフォルダが
ありました。

「……あー、これね。
 長いこと仕事してると、
 シナリオを執筆して、
 ギャランティも戴いたんだけど
 諸事情で制作中止になっちゃった
 作品ってのがあるんだよ
「ほほう、どんなお話だったのか
 ご紹介してもいいですか?」
「まぁ結構昔の作品が多いし、
 プロットくらいならいいかなー」

そんな訳で今回は
賀島さんが執筆された【幻の作品】
についてお話したいと思います。

まず最初は、
ピンクパイナップルさんの
『ストリンジェンド&
 アッチェレランド』

こちらは世徒ゆうきさんの
コミックが原作です。
2008年にOVAが全3巻で
発売されているのですが……

「制作が中止になっちゃったのは
 OVAじゃなくてスピンオフの
 ドラマCDなんだよ」
「エロアニメのドラマCDなんて
 あったんですね?」
「今ではもう販売されてないけど
 ピンクパイナップルさんが
 【エロティメットドラマCD】
 っていうシリーズを出してたこと
 があったんだよ」
「面白いシリーズ名ですね~」
「これは同タイトルのエロアニメの
 関連商品って感じだったかな。
 短編ドラマが4~5編くらい
 収録されてるCDなんだけど、
 その内の1編がアニメの初回限定
 特典として封入されてたんだよ」

調べてみると、
エロティメットドラマCDは
3作品が発売されていました。
『個人授業』(2008年4月発売)
『花粉少女注意報!』
『あらいめんとゆーゆー』
(2008年6月発売)
ちなみにこちらも全て賀島さんが
シナリオを執筆されています。

「最初は全てのエロアニメに
 特典としてドラマCDを付ける
 ……っていう企画だったんだけど、
 手間と予算が掛かる割に
 アニメもCDも予約数がそれほど
 伸びなくてねぇ……
 これなら特典とか付けなくても
 いいんじゃないかってことで、
 エロティメットドラマCDは
 3作品で終わりになっちゃった」

記録によると
こちらのドラマCDのシナリオは
2008年の3月に執筆されていますが
実はほとんど同じ時期に
ヤスイリオスケさんが原作の
『エロマンガみたいな恋しよう』
ドラマCDも執筆されていますね?

「うん、とにかく全てのOVAに
 ドラマCDを付けるっていう企画
 だったからさ。
 この時期は大忙しだったのよ」
「『エロマンガみたいな恋しよう』
 はOVAのシナリオは書いてない
 んだけど、ドラマCDだけ
 お手伝いしたんだよね。
 でも、結局こっちもシナリオまで
 で制作中止になっちゃった」

ではでは、幻のドラマCD
『ストリンジェンド&
 アッチェレランド』のプロットを
ご紹介しておきましょう。

CCI20220915.jpg

CCI20220915_0001.jpg続いてご紹介するのは、
ルネソフトさんの
こっとんど~るレーベル作品、
『エルフの双子姫』
『びんかんアスリート』です。

『エルフの双子姫』
ルネレーベルのゲームが原作で
2009年7月にOVAの第1話が
発売されています。
『びんかんアスリート』
マリンレーベルのゲームが原作で
2009年12月にOVAの第1話が
発売されています。

「これはね、どちらも原作が
 ルネソフトさんの系列レーベルで
 制作会社がティーレックスさん
 だったんだけど、少し変わった
 発注をされたんだよね」
「……と言いますと?」
「一応、全2巻のOVAとして
 プロットまでは一気にまとめてさ
 そのあと、とりあえず第1話を
 制作して、もし売上が良かったら
 第2話を制作しましょうっていう
 企画だったんだよね」
「ははぁ……なるほど……」

「だからこの2作品は、残念ながら
 ちょっと結果が残せなかったって
 ことなんだよね」
「ただ、もしかしたら第1話で
 終わっちゃうかもしれないって
 最初から分かっていたから、
 プロットを制作する時、第1話の
 ラストもなるべく綺麗にまとめる
 ようにしたつもり」
『びんかんアスリート』は、
 元々原作ゲームもアスリートの
 一人一人に着目したオムニバスの
 ストーリーだったから、この企画
 にマッチした原作だったのかも」

「賀島さんとしては、折角考えた
 第2話のプロットが制作中止に
 なって残念でしたね……」
「でもさ、
 ティーレックスさん制作の
 こっとんど~るレーベル作品では、
 『戦乙女ヴァルキリー2』
 『フォルト!!』
 『彼女が見舞いに来ない理由』
 みたいに第2話、第3話と
 制作された作品もあって、
 お付き合いは続いてるからね」


続けてご紹介するのは、
メリージェーンさんの
『聖徒会長ヒカル』

こちらはcatwalk NEROさんの
アドベンチャーゲームが原作で、
2010年の1月にOVAの上巻が
発売されているのですが……

「売上が芳しくなくて、下巻は
 制作が中止になっちゃったんだ。
 上下巻の連続ものとして
 シナリオを発注されてたから、
 上巻のラストはすごく続きが気に
 なる展開で終わらせちゃってさ~
 お客さんに申し訳ないことを
 しちゃったよね……」

メリージェーンさんのエロアニメは
大半が20分作品ですが、
『聖徒会長ヒカル』の上巻は
30分作品でした。

「当時、メリージェーンさんは
 製作を始めたばかりで、
 この作品にも力を入れてもらって
 いたんだよね……
 このあと、
 『女子高生の腰つき』
 『闘技場の戦姫』
 『お兄ちゃん、
  朝までずっとギュッてして!』
 でお付き合いは続いてるんだけど、
 『ヒカル』の時は本当にご迷惑を
 お掛けしちゃったなと……」

データファイルを調べてみると
プロットが2009年の10月半ば、
上巻のシナリオが同年の11月末、
下巻のシナリオは同年の12月末に
納品されています。

「この作品、実は
 『二次元ドリームマガジン』
 筑摩十幸さんが連載していた小説
 がゲームの原作になってるんだ。
 これが【凌辱モノ】として
 ものすごい傑作の小説でね。
 続編のパート2と併せて、
 今でも仕事机のすぐ隣の本棚に
 置いてあって、ちょくちょく
 読み返したりしてるよ」

ではでは、続きが気になっていた
お客さまの為にも、
『聖徒会長ヒカル』下巻の内容を
プロットでご紹介しましょう。
CCI20220915_0002.jpgCCI20220915_0003.jpg最後にご紹介するのは、
ミルキーズピクチャーズさんの
Celebレーベルで制作予定だった
『ボクの彼女はガテン系』

こちらはエルフさんの18禁ゲームが
原作のOVAなのですが、
【制作予定だった】と言うことは……

「そう、実はこの作品は
 20分作品・全2巻でシナリオまで
 制作されていたんだけど、
 発売されないまま制作中止に
 なっちゃったんだ」
「どういう事情だったんでしょう?」
「それがねー、現場には詳しい事情
 は説明されなかったんだよねー
 その時点では作業に入ってたのは
 私だけだったし、ギャランティは
 2本分ちゃんと戴いたから、
 それ以上は詮索しなかったんだ」

ちなみに、
プロットの制作が2012年3月、
#1シナリオの制作が同年の4月、
#2シナリオの制作が同年の5月と
なっております。

「ところが3年後の2015年に
 同じCelebレーベルで
 エルフさん原作のシリーズ作品
 『麻呂の患者はガテン系』
 30分作品・全2巻でOVA化
 されてるんだよね。
 制作会社も同じで、私がシナリオを
 書かせてもらったんだけど……
 この企画が
 『ボクの彼女はガテン系』
 穴埋めって解釈だったみたい」
「ははぁ……
 分かったような分からないような
 何だか不思議な話ですねぇ」

「ただ、実はこの原作になっている
 『ガテン系』シリーズのゲーム、
 シナリオのクオリティが
 メチャクチャに高いんだよね。
 私が300本以上関わってきた原作
 の中でもトップクラスだと思う」
「そうなんですか?」
ドラマ重視の作品の場合、
 Hシーンに入るまでの流れで
 ドラマを盛り上げて、
 Hシーンはいやらしさを盛り上げる
 ように考えるのが普通なんだけど、
 このシリーズのシナリオは、
 Hシーンの中でも感情の動きや
 葛藤が盛り込まれてるんだよねー
「ははぁ……」
「神様にはまだちょっと分からない
 かもしれないけどさ。
 Hシーンはメッチャいやらしくて
 実用的で印象に残るし、
 主人公やヒロインにもキチンと
 感情移入できるんだよ。
 Hシーンとドラマの
 絶妙なバランスでの融合……
 口で言うと簡単に聞こえるけど
 大変なことだと思うんだよね

『麻呂の患者はガテン系』なんて
 主人公の医師・彦麻呂は白塗りで
 【バカ殿】みたいな見た目でさ、
 最初は笑っちゃうんだけど、
 最後にはちょっと泣けたりする
 んだよねぇ……」
「正直、あれだけのレベルの原作を
 20分全2巻とか30分全2巻で
 まとめるのはすごく難しくてさ。
 もう開き直って、原作の魅力を
 紹介する長めの予告編みたいな
 つもりでまとめたよ」

賀島さんがここまで仰る作品には
私も興味があります。
OVAのプロットを参考までに
ご紹介しておきますね。
CCI20220915_0004.jpgCCI20220915_0005.jpg
「この『ガテン系』シリーズの
 ライターの土天冥海さんって
 実は蛭田昌人さんのペンネーム
 だって噂があるんだよね」

蛭田昌人さんは
エルフさんの創業者の一人で、
『ドラゴンナイト』シリーズ
『野々村病院の人々』
『河原崎家の一族』シリーズ
『同級生』『下級生』シリーズ
『遺作』『臭作』『鬼作』
『愛姉妹 二人の果実』など、
数々のヒット作を世に送り出した
ゲームシナリオライターです。

「あくまで噂だからハッキリした
 ことは分からないんだけど……
 もしそうだとしたら、
 あのクオリティにも納得だね」

「制作中止になってしまった作品
 にも、思い出が沢山あるのですね」
「そうだね、不思議なもんだけど」

「さてさて、長々とお話を伺って
 きましたが、最後にまたリクエスト
 をお聞きしましょう」
「それじゃ、TVアニメ版の
 『はいからさんが通る』
 オープニングを聞かせてよ」

『はいからさんが通る』
大和和紀さんのコミックで、
アニメ化、映画化、舞台化もされた
人気作です。
ところが、TVアニメは諸事情により
原作の途中で打ち切りになっている
のでした。

「15年以上前に亡くなった祖母が
 大正生まれのヒロイン・紅緒の
 ちょっと下の世代でね。
 私が子供の頃、
 再放送を一緒に観てたんだけど
 あのラストにはビックリしたな」

しかし時は流れて2017年。
劇場版アニメが二部作で制作されて
今度は原作のラストシーンまで
キチンと描かれたそうです。

「もちろんこの作品は二作とも
 劇場まで観に行ったんだけどさ。
 色んな想いが込み上げてきて
 やっぱりちょっと泣けたね」

ではでは、
そんな賀島さんの思い出の曲を
ご紹介したいと思います。

「原作の絵を組み合わせただけの
 オープニング映像なんだけど、
 楽曲と編集のセンスがいいから
 すごく印象に残るんだよね。
 映画とか舞台とか色々あったけど
 主題歌はこれが一番好きだな」

今日はちょっと長くなってしまって
申し訳ありません。
また機会がありましたら、
私の話を聞きに来てくださいな。

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佐和山進一郎

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