＃32 無くて七癖
エロアニメの神様さてさて、今回のタイトルは
『無くて七癖』ということですが……
「うん、
先ずはこの画像を見てもらおっか」
こちらはピンクパイナップルさんから
2001年７月に発売された
『脅迫Ⅱ～もう一つの明日～』
第１話のジャケット画像です。
アイル【チーム・Riva】さんの
『脅迫～終わらない明日～』を
原作としたOVAの第２シリーズです。
「で、今度は
こっちの画像を見てほしいんだ」
「あらららら？
これはまた何と言うか……
構図といい小道具のバラといい
実によく似たジャケットですね」
ちなみにこちらは
ピンクパイナップルさんから
2003年８月に発売された
『エルフィーナ
～淫夜へと売られた王国で～』の
第１話のジャケット画像です。
やはりこちらも原作は
アイル【チーム・Riva】さんです。
「この二つのジャケット画像、
『エルフィーナ』がパクッたとか
参考にした画像が同じとか
そういうんじゃないんだ。
原作は偶然同じアイルさんだけど
何か指示があったわけでもないの」
「一体何があったんですか？」
「私は『エルフィーナ』の制作当時
ピンクパイナップルさんの製作を
お手伝いしてたんだけどさ、
当時は織賀進プロデューサーが
ジャケット版権のラフを描いて
発注する事が多かったんだよね」
「で、実はこの二つのジャケット、
たまたま織賀プロデューサーが
似たような発注をしちゃった……
ってだけなんだよね」
「たまたまなんですか？
『脅迫Ⅱ』のジャケットが
好評だったからあえて似せたとか
そういうのでもなく？」
「そうそう、織賀Ｐ本人も
全く気づいてなくてさ。
社内の営業部から
『よく似てますよね』って言われて
自分でもビックリしてたよ」
「ま、同じメーカーさんの作品だし
原作元さんもＯＫを出してる
ジャケット版権なんだから、
別に問題ではないんだけどさ」
「ははぁ……
そんなこともあるんですね」
「ただ、
ちょっと怖いなと思ったのは
織賀Ｐが全く無意識に同じような
版権ラフを描いちゃったことだね」
「どういうことでしょう？」
「エロメディアのクリエイターでも
やっぱり好きなプレイとか
持ってるフェチは各々違っててさ
自分好みの趣向があるんだよ。
だから気を付けてないと、
自分好みの似たような創作物を
無意識に出しちゃうってことが
誰にでも有り得ると思うんだ」
「本人としては、自分の趣向が出せて
気持ちいいのかもしんないけど、
それが積み重なると、
パターンになっちゃうからね。
そうすると、いつかお客さんにも
パターンを読まれちゃって、
エロメディアにとって大事な
【刺激】が薄まっちゃうし
飽きられちゃうと思うんだ」
「シナリオライターで言うと、
同じような言い回しのセリフを
多用しちゃったりとか、
プレイの流れが似ちゃったりとか
そういうところかな」
「先ほど『気を付けてないと』と
仰ってましたが、
賀島さんご自身はその対策として
どんな事をされているんですか？」
「前にも言ったことあるけど、先ずは
原作を丹念に解析することだね。
どんな物語でもキャラクターでも
シチュエーションでも、
他の作品と100％同じってことは
有り得ないわけだからさ、
原作を丹念にしっかり解析して、
その原作ならではの要素を
見極めていくのが大事だと思う」
「なるほど」
「まあでも、
この【飽きられちゃう】って話は
シナリオライターとか役者さんとか
プロデューサーとか、
担当作品が多いセクション特有の
問題なのかもしれないけどね」
「と言いますと？」
「例えば、むらかみてるあき監督は
キャラクターデザイン、絵コンテ、
原画を全部自分一人でやっちゃう
制作スタイルなのよ。
だからすごく個性的なエロアニメに
なるんだけれど、
反面、量産はできなくて、
１本のエロアニメを作るのに
半年かかっちゃうわけ」
「そうやってもう20年以上
エロアニメを作り続けていると、
お客さんが飽きるんじゃないかって
不安になることもあるらしいんだ」
「ほほぅ」
「ただね、
彼としては20年間毎日毎日休まず
制作を続けているんだけど、
お客さんの側としては
半年に１本しか新作エロアニメを
観られないわけでさ、
全然飽きてないというか、むしろ
むらかみ監督らしい、独特の作品
を待ってたりするんだよね」
「ははぁ……なるほど」
「でもむらかみ監督の
心配もよく分かるんだよね。
エロメディアっていうのは
エッチな行為を描くっていうことは
大前提として決まってるわけで、
その中で常にお客を飽きさせない
刺激を与え続けるってことを
考えなくちゃいけないんだからさ、
やっぱその辺は神経を使うよ」
長々とお聞きいただきまして
どうもありがとうございます。
毎月10日・20日30日に
更新できるよう頑張りますので
よろしければまた
私の話を聞きに来てくださいね。
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